新常態と向き合い前進し続ける 新常態と向き合い前進し続ける

新型コロナウイルスの流行によって社会が大きく変化する中、スーパーグローバル大学も停滞することなく、新しい国際化に取り組み続けています。 新型コロナウイルスの流行によって社会が大きく変化する中、スーパーグローバル大学も停滞することなく、新しい国際化に取り組み続けています。

アフターコロナにおける国際化への文部科学省の取組

文部科学省における高等教育の国際化に対する本格的な取組みは、2009年度の国際化拠点整備事業であるグローバル30に始まり、2012年度にはグローバル人材育成支援事業であるGGJ、そして2014年度からのスーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)と、その歩みは12年を経過しようとしています。SGUでは「10年後の未来、いかなる景色が拡がっているのか」見せて欲しいという思いで、徹底した「大学改革」と「国際化」を断行する大学を支援する事業として7年が経過し、各採択大学の構想の下、学内の体質改善や国際対応力の強化、国際通用性の向上への取組が多様な形で進展しており、事業全体としても着実な成果が上がっております。

このような弛みない取組みの中、現在、我々は新型コロナウイルス感染症の世界的発生により、国境を越えた移動が制限されると同時にオンラインの活用が急速に進む中で、国際教育・交流に留まらない大学の国際化全体の再構築・変革の必要性が迫られています。本事業は残すところ3年となった今、2021年度から、各大学のこれまでの多様な実績を踏まえ、連携・横展開を強化し、強みをさらに伸ばし、弱みを補い合える環境として採択校連絡会の機能を強化・発展する予定です。これにより、ポストコロナを見据えた我が国の高等教育の更なる国際通用性・競争力の向上の実現を図って参ります。

採択校の皆様には、引き続き国際化の更なる進展に戦略的に取り組んで頂くと共に、他大学においてもSGU採択大学の取組を参考に積極的な挑戦をして頂くよう、期待しております。

文部科学省高等教育局長
伯井 美徳

法政大学

オンライン学生交流会

これまで法政大学は、スーパーグローバル創成支援事業採択大学として、スタディ・アブロード、海外インターンシップ、海外ボランティアなど、海外の現地に赴く機会やプログラムの提供、日本に留学してきた海外の学生と交流する機会を提供するなどのかたちで国際交流を行ってきました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、従来のかたちでの国際交流ができなくなるという事態となりました。そこで、在学生に新しいコミュニケーションの機会を提供したい、期待していた大学生活を送ることができていない1年生に大学生の活動を体験してもらいたい、留学やスタディ・アブロードの見通しが立たたない学生に国際交流の場を提供したい、といった思いから、海外協定校を中心に、本学学生と海外大学生とのオンライン交流会を企画し、実施することとしました。

この春学期、本学においては5月末から7月末にかけて延べ11回のオンライン交流会を実施しました。

具体的な交流先は天津外国語大学、北京科技大学、大連工業大学、山東大学(以上、中国)、釜山外国語大学、仁川大学(以上、韓国)、元智大学(台湾)、日越大学(ベトナム)、BELTEI International University(カンボジア)です。

使用言語は交流会によって異なり、英語による交流会を3回(日越大学、BELTEI International University、山東大学)、日本語による交流会を8回(天津外国語大(2回)、北京科技大学(2回)、大連工業大学、釜山外国語大学、仁川大学、元智大学)開催しました。

交流会は以下のコンテンツをベースに実施しました。

  • アイスブレイク
  • 自己紹介
  • 個人プレゼンテーション
  • グループディスカッション
  • グループプレゼンテーション
  • クロージング

コロナ禍により、留学や対面交流などこれまで行ってきたスタイルの国際交流が困難な状況下、このオンライン交流は国際交流のスタイルのひとつとして新しい価値を生み出していると言えます。

今後も法政大学では、いろいろなタイプのオンライン交流の機会を提供していきたいと考えています。

法政大学学生のプレゼンテーション(中国のいいところ)
仁川大学との記念写真
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関西学院大学

多様で質の高いオンライン留学プログラム

関西学院大学のSGU事業「グローバル・アカデミック・ポートの構築」構想では、海外協定大学への日本人派遣学生数日本一となることを重要目標の一つに掲げて取り組んで来ました。全学を挙げた取組の結果、構想よりも5年前倒しで、「協定に基づく日本人海外派遣学生数日本一」を達成しました(2018年度実績/独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2018年度日本人学生留学状況調査」)。

コロナ禍で国際的な移動が困難な状況下でも、スクールモットー “Mastery for Service”を体現する創造的かつ有能な世界市民を育むため、本学ではCOILやVirtual Exchange (VE)と呼ばれるオンラインを活用した新しい国際交流プログラムを急ピッチで開発しています。本学のCOIL/VEにおいては本学SGU事業で重視してきた「質」の担保のため、全体の30%以上を海外大学の学生との共修・交流に充てるもののみをCOIL/VEとして学内で独自に定義。コロナ禍においても協定大学を中心とした海外の大学生と密に交流できる機会を提供し、派遣再開後のハイブリッドへのスムーズな接続も視野に取り組んでいます。

2020年度は国際教育・協力センターが従来から実施している海外協定校とのPBL型プログラム(企業からの課題に日本とカナダの学生が協働で解決策を立案するCross-Cultural Collage、日米の学生がそれぞれのビジネス文化を紹介し議論するSummer School等)や、協定校で実施していた外国語研修のオンライン版等の多様なプログラムを提供しました。結果200名を超える学生がオンラインでの国際教育プログラムに参加しました。

2021年度からはさらにプログラムを拡充し、より多くの学生にオンラインプログラムにチャレンジしてもらえるよう準備を進めています。また、各学部でもそれぞれの特色を生かしたCOIL/VE型の科目を提供します。

また、オンライン国際教育プログラムへの参加学生に対し奨学金も支給(支給条件あり)。多様なプログラムと経済的な支援の充実により、コロナ禍においても学生の世界への挑戦を手厚く支援していきます。

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会津大学

ハイブリッド型海外インターンシップへ改革

会津大学では、学生が「世界のエンジニアとの交流を通して、創業精神を醸成する」、「海外スタートアップ企業・グローバル企業での事業参画を経験する」ために、ICT技術の最先端を行く国・都市での海外インターンシップや事業開発プロジェクトを整備し、提供してきました。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、これらのプログラムは現地での研修実施が厳しい状況が続いています。そこで、従来のプログラムを、オンラインでの技術交流と国内研修を組み合わせたハイブリッド型へと改革し、学生のモチベーション維持・技術力向上に努めています。2020年度3月には以下のプログラムを実施予定です。

  • 「AI/IoT 技術開発プログラム」

AIを用いたシステム開発について学び、ものづくりを行います。最終日にはシリコンバレーの現地技術者を交えたオンラインでの成果発表会を行い、開発した製品について英語でプレゼンテーション・意見交換する機会を設けています。これにより、従来の「シリコンバレーインターンシッププログラム」で味わえる世界最先端の現場や技術者の雰囲気を国内でも体験できるようにしています。

  • 「中国ビジネス研修プログラム」

ICT市場が急速に変化する中国・大連でのビジネスについて学びます。従来の「大連インターンシッププログラム」を、大連での現地研修部分をオンライン化し、福島県内企業でのICTグローバル展開の学びは維持することで実現しました。研修は本学の拠点も有する大連東軟信息学院と連携し、英語で提供します。大連の学生との交流も予定しており、現地のICTを取り巻く市場のリアルな雰囲気や、異文化交流を体験できるようにしています。

アフターコロナを見据え、今後もオンラインツールを効果的に用いながら、従来の目的・価値を最大限実現できる海外インターンシッププログラムの開発・改良を推進していきます。

(過去のシリコンバレー現地研修の様子)
(過去のシリコンバレー現地研修の様子)
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芝浦工業大学

オンライングローバルPBLの展開

従来から展開してきた実践型のアクティブラーニング教育を発展させ、海外協定校や企業を交えたグローバルPBL(Project Based Learning)を積極展開しています(2020年度27件実施)。様々なバックグラウンドを持つ海外協定校の学生とプロジェクトチームを作り、専攻分野に応じた課題解決型ワークショップに取り組んでいます。チームメイトとの共同作業を通し、問題解決の困難さや達成感を体得することができます。通常は海外もしくは日本国内で実施をしてきましたが、これをオンラインで行うことで、二ヵ国間だけでなく複数国の学生や教員が参加することを可能にしました。企業側の参加負担も少なく、現場からの的確な指導が受けやすくなるなど、新たな展開や可能性を持った取り組みとなっています。

オンラインで実施するグローバルPBLは、異文化を肌で体験することができないといった点や、国・地域によっては時差のため共同開催が難しいケースもあります。また、画面越しの英語によるコミュニケーションは、対面に比べ難しいという意見もあります。しかしながら、従来の渡航を伴うグローバルPBLは、主に学生の長期休暇期間に2週間程度集中して実施するなど、学生のスケジュールや予算による制約を受けていました。オンライン化することにより、この制約を受けずに長期間のプログラムも実施することができるため、議論や検討をする時間も増え、完成度の高い成果物も期待されています。

コロナ禍により、グローバルPBLをはじめとした国際交流プログラム全般において、多大な影響を受けています。ただ、それはオンラインを活用した新たな国際連携を進める大きな転換点ともなり得ます。対面での国際交流プログラムの単なる代替といったネガティブな位置付けではなく、今後も新しい手法の導入などオンラインを活用した国際交流プログラムを実施し、より質の高い多様性を持ったプログラムを展開することで、多くの学生に魅力あるプログラムを提供していきます。

数理科学科オンライングローバルPBL
数理科学科オンライングローバルPBL
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奈良先端科学技術大学院大学

海外FD研修及び国際FDウェビナーをオンラインで開催

本学では、教員の英語による教育・研究・管理運営能力を高めるため、毎年、海外協定校であるカリフォルニア大学デービス校(UCDavis)へ教員を派遣し、海外FD (Faculty Development)研修を実施しています。令和2年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて海外渡航が不可能となったため、初の試みとして、11月17日(火)~19日(木)にオンラインでの海外FD研修を実施しました。参加した5名の教員は、UCDavisの講師から、学習者中心教育(Student-centered learning)、PBLなどの基礎的内容から、コロナ禍での授業運営の実態、学生のモチベーションを向上させる方法、キャンパス内における多様性への対応などの実践的な内容まで幅広く学びました。さらに、自らの英語による講義を収録した映像を視聴し、講師から講評やアドバイスを受けながらディスカッションを深め、効果的な授業実施のための改善に向けた示唆を得たほか、PjBL(プロジェクトベーストラーニング)のためのコースシラバス作成に協働で取り組みました。

また、10月6日(火)には、ニューノーマルにおけるグローバル教育の展望についての国際FDウェビナー(講師:UCDavis教員)を開催しました。参加した本学及び北陸先端科学技術大学院大学の教員、博士後期課程学生約20名は、オンライン教育・学習という新たな様式の確立と、その中での教育の機能やミッションの変容について考察し、意見交換を行いました。タイムリーなテーマ設定は参加者からも好評で、早速次回の開催に期待する声が寄せられました。

本学では、これらのオンラインによる国際FD活動の内容・効果を検証したうえで、今後の開催に向けて改善に努めてまいります。

オンライン海外FD研修の様子
国際FDウェビナー概要
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九州大学

九州大学英語能力試験奨励制度

九州大学では、With & Beyondコロナ時代を迎えるにあたり、学生が安心して大学で過ごすことができるよう、石橋達朗総長のイニシアティブのもと「With & Beyondコロナ時代における学生のための安心・安全プラン」を策定しました。

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/crisismanagement/riskmanagement/coronavirus/students/

本プランは、①「感染防止対策」、②「教育環境の充実」、③「学生支援の充実」の3つを柱として、学修機会の確保と感染対策を両立し、質の高い教育を提供するため、多様な取り組みを行うものです。このうち、「英語能力試験奨励制度」は、③「学生支援の充実」の一環として、学生の国際的なモビリティを促進するために2020年12月に開始した制度です。

本制度は、海外留学希望者が留学準備のためにIELTS Academic(IELTS for UKVI(Academic)を含む)又はTOEFL iBT®テスト(TOEFL iBT® Home Edition を含む)を受験した場合に、その受験料の一部として、一人当たり2万円を大学から助成するものです。意欲ある学生の語学力向上を図り、感染収束後の留学に向けた取組を支援することを目的としています。学部・大学院いずれの学生も利用可能で、上限人数は600名です。

さらに、受験料の助成と併せて本制度の効果を最大化できるよう種々の工夫も行っています。例えば、対象試験をなるべく安全な状況で受験できる機会を提供するために、IELTS団体受験を学内で実施する予定です。また、上述の試験ではリスニング及びスピーキングも要求されますが、これらを苦手とする学生は多くいます。そこで、事前の集中講義として、これらのスキルの向上に特化した、留学準備のための特別授業を実施しました。

すでに、本制度を利用した学生からは、「高額な受験料のため受験を躊躇していたが、助成があることで『まずは一回受けてみよう』と背中を押された」、「一度受験することで目標が明確になり、学習意欲が向上した」といった声が届いています。

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