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01. メッセージ

国際化を通じて
インクルーシブな社会を

文部科学大臣

萩生田光一

profile

明治大学商学部卒業後、八王子市議会議員、東京都議会議員を経て、第43回衆議院議員総選挙にて初当選(現在5期目)。文部科学大臣政務官、自民党東京都連総務会長、内閣官房副長官・内閣人事局長、自民党幹事長代行を歴任し、2019年9月より文部科学大臣・教育再生担当を務める。

SGU事業によって着実に進む大学の国際化

国際化に取り組む大学を重点支援する体質改善事業として、2014年からSGU事業をスタートさせました。開始前と比較すると、採択校全体としては外国語による授業科目数は約2倍、外国人留学生の受け入れ数は約1. 5倍になり、外国人の専任教員数は全国の大学平均の2倍を上回るなど、確実に成果が出てきています。個別の大学で見ても、カナダのトップ大学とゲノム研究の国際共同学位プログラムを立ち上げた京都大学や、全員留学の取り組みを一学部から全学へ拡大した千葉大学、国立大学として初めてアメリカの大学をキャンパス内に誘致した広島大学など、特徴的な取り組みが多数あります。さらに各採択校やSGU採択校全体で実施するシンポジウムなどで、事業の成果や課題も積極的に発信しています。それによって採択校以外にも成果の横展開が見られ、教員の意識改革や学内改革の契機となり、国際化対応の進展に寄与していると思います。

多様性を育むことが社会課題の解決には不可欠

経済社会のグローバル化が進む中で環境問題や貧困、紛争など一つの国だけでは解決できない問題が山積しており、そうした課題に対処するには世界との共生が欠かせません。その際に私たちに求められるのが多様性に対する寛容さです。SDGsにもあるように性別や人種、民族、国籍、社会的地位、障害の有無などの属性にかかわらないインクルーシブな社会を実現する必要があります。世界から多様で優秀な人材を多く受け入れ、また日本人も海外に飛び立って世界を知り、多様性を当たり前にしていくことが重要です。それが、ひいてはイノベーションの創発や我が国の国際プレゼンス向上につながると考えています。一方で北は北海道、南は九州・沖縄まで約800校ある大学は、地域においても重要な存在となります。知の拠点として地方自治体や地域の産業界などと連携しながら、各地域の有する固有の課題に対し、対応力や解決力を有した人材を輩出し、学生を地元に惹きつけるような教育研究を展開していただきたいと考えています。

オンラインも活用して国際化の継続的な推進を

SGU事業のゴールである2023年度に向けて、これからは総仕上げの時期になります。タイプA(トップ型)の大学には高い競争力を持ち世界と伍する教育研究を行っていくこと、タイプB(グローバル化牽引型)の大学には地域の知的拠点としてそれぞれの地域社会のグローバル化を牽引していただくことを求めます。コロナ禍によって大学の国際化も甚大な影響を受けていますが、その中でもオンラインの良さを活用しながら国際教育交流プログラムを促進し、学生が異文化に触れて成長する貴重な機会を提供していただきたいと思います。またSGU事業はあくまでも国際化への発射台に過ぎません。事業期間の終了後も、これまでに構築してきた独自のプログラムを継続・発展させていかれることを願います。

グローバル化時代を担う若者たちへの期待

時間的にも空間的にも世界はどんどんボーダーレスになってきています。若者の皆さんには、日本人としてのアイデンティティは大切にしつつも殻に閉じこもらず、ぜひ世界を視野に入れて活躍していただきたい。ビジネスにおいても研究においても、世界で輝く日本人が増えていくのは日本にとって非常に価値があります。皆さんが、コロナ禍であってもピンチをチャンスに変えるという気概を持ち、大いに努力を重ね、活躍の場を広げられることを心から期待しています。

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

01. メッセージ

日本の心で世界と共に歩む
グローバルリーダーから、次世代リーダーへ

ノーベル平和賞受賞団体 国境なき医師団日本 元会長

国境なき子どもたち 会長

寺田朗子

profile

1946年東京に生まれ、幼稚園から高校まで雙葉に学ぶ。東京外国語大学フランス語科入学。卒業後は3児の母として育児に追われる日々を過ごした。1992年大学の先輩の働きかけがあり、国境なき医師団(MSF)日本の事務局ボランティアとして設立時から関わる。1998年から7年間会長をつとめ、1999年にはノーベル平和賞授賞式に日本代表として参列。現在は国境なき子どもたち会長として、アジア各地や東北にも足を運ぶ。

心に友に差し出す手を持ち、
真に求められているものを見つめる

若い日の夢は母校のフランス語教師になることでした。大学を出てから、3人の子どもの母親として忙しい日々を過ごしていましたが、いつか世の中とつながりたいという思いだけは捨てませんでした。十数年経ったある日、先輩からの突然の電話。それをきっかけに国境なき医師団(MSF)の日本事務局立ち上げのために来日するフランス人の手伝いをすることになりました。そして新しい日々を見つけました。

国際援助などに何の知識もなかった私は、そのフランス人から多くのことを学び、現場を見る機会をもらいました。そして「情に流されない、でも情に厚い、目先のことでなく真に求められているものを考えること」の大切さを教えてもらいました。その後、MSFから独立したNPO「国境なき子どもたち」に立場を移し、現在に至っています。この組織は日本を含むアジア・中東地域の7カ国で、厳しい条件の中に暮らしながらも学ぶことを通して前に向かおうとしている青少年に手を差し伸べている組織です。

今の若い方たちは昔と比べて、国際的な活動に対しての関心はとても高いと感じます。昨今はコロナ禍で海外に行くことが不自由になっていますが、それでも遠い地の映像とともに入る情報は段違いに多いことは間違いありません。その中で「何かしたい、何ができるのか」と考える、その一歩はとても大切だと思います。一口に関わると言っても、国際援助ということをしっかり学んでそこに身を置く人、現地の生活を通して相手と心を一つにする人、あるいは私のようにご縁や流れによってつながりをもらい笑顔を分かち合う人、といろいろあるでしょう。でも、いずれにしても一番大切なのは心の奥に「友に差し出す手」の意識があることです。多くの思いが二重三重に絡み合って、それぞれがパッチワークのようにつながってゆくことで初めて力強い大きな輪ができると思います。

私なりにこれまでに学んだことをまとめてみます。

  • まず初めは「知ること」、そして「何かをしたい」と思うこと。独りよがりでなく、相手のために自分に何ができるかを冷静に考えること。
  • スタートするのは年齢や性別は関係なく、思いがあればいつからでも。
  • 一生の仕事と気負うことはなく、人生の一時期でもいい、関わってみる。

外の空気を吸ってまた戻ることで、より中身の濃いつながりができる場合もあります。

今すぐに何かできなくても、気持ちの奥に「いつの日か」という思いを抱き続けていれば、チャンスはきっと来るでしょう。

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

日本アイ・ビー・エム株式会社

学び続ける姿勢が世界にインパクトを与える

近年、社会環境や人々の生活様式は大きく変わり、ハイブリッドクラウドやAI、量子コンピューターなどの新たなテクノロジーが当社の事業の中核を担うようになりつつあります。変化の激しいIT業界ですが、いつの時代においても大切にしているのは、“Good Tech”という考え方です。私たちが生み出すテクノロジーが向かう先は、よりよい社会の実現である。この考え方の下、IBMは100年以上にわたり最先端のテクノロジーで世界にインパクトを与え続けてきました。

大きく変化する世の中で知的好奇心は一番の武器になる

ここ数年の採用活動を通して、世界に目を向ける学生が増えたと感じます。これはスーパーグローバル大学創成支援事業の成果の一つと言えるのではないでしょうか。世界を舞台に活躍するために、日本の学生は「日本人として、世界にどのようなインパクトを与えることができるか」を考えるべきだと思います。日本にはサービスの質や顧客満足度に対するレベルの高さなど、世界に誇れる強みが多くあります。世界と比較して見えてくる日本の良さを理解し、早い段階からグローバルリーダーとしての自覚を持ってください。また、大学側には「言葉を超えたコミュニケーション力」を磨く環境のさらなる整備が求められるでしょう。IBMでも本社のあるニューヨークをはじめ、アジアやヨーロッパなどさまざまな拠点に在籍する多国籍のスタッフと連携して業務を行います。語学だけでなく、心理学や社会学などの多面的な学びにより、世界レベルでのコミュニケーション能力を育成していただきたいです。

技術革新により、オンライン上で語学学習や留学体験が可能となるなど国際化の在り方が変化しています。IT業界においても新しい技術が日々開発され、スキルの陳腐化が格段に早まりました。このような移り変わりの激しい時代に最も大切なのは、常に学び続ける姿勢を持つことです。学び続ける姿勢は知的好奇心に比例します。変化をチャンスに、何事にも恐れず挑戦を続ける人材こそが今後のグローバル社会には必要だと思います。

日本アイ・ビー・エム株式会社

クリスチャン・バリオス

常務執行役員 人事担当

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

住友商事株式会社

住友の事業精神を胸に、世界にまだない答えを創出する

住友商事グループの事業活動の根幹となる「住友の事業精神」。その中にある「自利利他公私一如」は、「住友の事業は住友自身を利するとともに、国家を利し社会を利するほどの事業でなければならない」ことを意味し、住友商事グループの経営理念では形を変えて「常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献するグローバルな企業を目指す」と謳っています。現代風に言えば「サステナビリティ経営」の精神を、当社グループでは脈々と引き継ぎ、グローバルに幅広く事業活動を展開しています。住友商事グループの仲間として共に働く方には、この事業精神と経営理念を心に留め、グローバルなフィールドで新たな価値創造に挑戦することが期待されています。

試行錯誤の過程と受容する力が新たな〝正解〞を創出する

最近は、留学などによる豊富な海外経験や高い語学力を有する学生が増えてきたように思います。一方で、性急に物事の「正解」を求め、最短距離でそのゴールを目指す学生も多い印象です。ビジネスに限らず現実社会では絶対的な答えなど存在せず、社会から求められていることに対して、試行錯誤や軌道修正を繰り返しながら「正解」を創出することが求められます。学生時代から不正解を忌避することなく、さまざまな挑戦を繰り返し、成功も失敗も多く経験してほしいですね。

また、これからのグローバル社会で活躍するために、「受容する力」が欠かせません。受容する力とは、目まぐるしく変化する世の中において環境に適応する力であり、自身が関わる相手をリスペクトし、物事に誠実に取り組む力でもあります。相手と真摯に向き合い、最後まで諦めずに泥臭く実行することが、成功の鍵になると考えています。

学生の皆さんは、今しかできないことや、やりたいことに打ち込み、多くの経験を積んで、自分の軸を持ってください。そして、大学には学生が自身の力で可能性や将来の選択肢を広げることができるよう、「挑戦を促す環境」をさらに整えていただきたいと願っています。

住友商事株式会社

稲田 浩之

人事部 採用チーム長

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

パナソニック株式会社

世界中の仲間とともによりよいくらしを創造する

パナソニックは、家電だけにとどまらず、「家のこと」、「街じゅうのこと」、家や街をつなぐ「移動のこと」、すべてを支える「部品や素材のこと」などさまざまな事業領域で、製品や技術、サービスを提供しています。世界各国、地域の経済発展や文化背景に寄り添った事業をグローバルに展開。現在、従業員の約6割は日本以外で勤務。また、海外トレーニー制度を活用して毎年100人以上の若手社員が海外拠点に赴任しており、世界中の人々のくらしがより快適に、より豊かになるように日々業務に取り組んでいます。

自分自身を理解することから自分らしさ、志が生まれる

当社の採用活動において重視しているポイントは3つあります。1つ目は、ユニークネスを持っているか。それは専門性だけでなく、パーソナリティや経験値などの組み合わせで生まれる「自分らしさ」です。今まで経験してきたことを振り返ることで、自分自身を構成するユニークネスが見えてくるはずです。2つ目は、志を持っているか。成し遂げたいビジョンを思い描き、実現するためには何が必要なのかを考え、行動できる力を持っている人は魅力的ですね。また、描くビジョンをお客様のくらしに落とし込み、新たなアプローチの可能性を広げられると面白いと思います。3つ目は、人的ネットワークです。学生、特にSGU採択校の皆さんは国内外の方と関わる機会が多いからか、総じてコミュニケーション能力が高いと感じています。その能力を生かして、多様な個性を持つメンバーの強みを活かし、弱みを補完し合う。また、多様な価値観を持ち寄り、新たな価値を生み出していく。そういったことを通じて、互いに協力し合える関係を築くことで対応スピードを上げることができる。そうした力はお客様へのお役立ちに直結していくと考えています。

当社は、国内外のグループ会社との緊密な連携のもとに、開発・生産・販売・サービス活動を展開しております。グローバル化という視点では、これまでそれぞれの現地で完結していた事業も、今後は、組織や人材においてもグローバルに最適な選択をしなければなりません。国内から海外のメンバーとやり取りする機会もさらに増えるでしょう。自分らしい志を持ち、自身の強みを生かして世界という広いフィールドで私たちとともによりよいくらしを創造できる仲間を求めています。

パナソニック株式会社

小幡 寛斉

新卒採用責任者

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

丸紅株式会社

事業や国境などあらゆる壁を超え、新たな時代を切り拓く

デジタルトランスフォーメーションに代表される事業環境の激変により、想像しなかった新しいサービスが生まれるなど、これまでの常識が通用しない世の中となり、丸紅グループの在り方も変革の時を迎えています。総合商社として多角的な事業を展開する中で、今までは事業ごとの縦割り意識が根付いていましたが、それでは時代の変化に対応することはできません。そこで丸紅は、“Globalcrossvalue platform” という在り姿を掲げ、丸紅グループそのものをプラットフォームとし、時代が求める社会課題を先取りし、事業間、社内外、国境などのあらゆる壁を突き破り、タテの進化だけでなく、ヨコに拡張することで、社会・顧客に向けてソリューションを創り出すことを目指しています。新たな成長領域、ビジネスモデルに挑戦する当社においては、常にアンテナを張り、好奇心と当事者意識を持って課題解決できる人財が求められています。その上で採用にあたり重視しているのは、成果だけではなくそこに至るまでのプロセス。留学、国際協力など、海外でさまざまな経験を積んだ学生が増えてきていますが、どのようなことに興味・関心を持ち、何を目的としてどのように行動したのか。プロセスをしっかりと語り、その人らしさを伝えてほしいですね。また、そのような経験から当社でやりたいことが明確であれば、部署・業務を明示して募集するジョブ型のCareer Vision 採用にもチャレンジしていただきたいです。

世界とつながり、答えのない問いに挑む

当社が目指しているのは、社会・顧客の課題と向き合いながら商社の枠組みを超える価値創造グループ。必ず正解のある学校の試験とは異なり、単純な正解のない、複雑な課題に向き合い、試行錯誤しながら自分なりの正解にたどりついていく必要があります。決して容易なことではありませんが、そのプロセスにやりがいを感じ楽しむ姿勢を持ってほしいですね。また、大切にしてほしいのが相手の懐に飛び込むこと。国や地域により、ものの見方や価値観が違うことを理解し、その違いを受け入れる。自身の既成概念にとらわれず、わかり合う努力をできる人が、今後のグローバル社会で活躍できると考えています。

丸紅株式会社

松尾 麻記子

人事部 採用・人財開発課 課長

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

金沢大学

日常にあるグローバルな環境が
新しい世界へ背中を押してくれる

金沢大学

砂子阪 将大

人間社会学域 国際学類 4年

古都金沢の郊外に位置する自然豊かなキャンパスでの学生生活と、「国際」や「留学」は一見結びつきにくいでしょう。しかし、SGU採択校である金沢大学では、現地に根差し、語学・学問レベルの向上を目指す派遣留学制度、フィールドワークや海外の企業・国際機関などへの訪問、就業体験などを目的とした短期留学制度など幅広いニーズに対応した留学制度が整っています。また総合大学であるため、さまざまな分野で国際的に活躍されている教員からサポートが得られることも大きな魅力です。

わたし自身もこれらの制度や環境を活かして、入学以来さまざまな国際経験を積んできました。その一つが、2年次秋から1年間参加したマレーシア・マラヤ大学への派遣留学。イスラム教と開発問題について学び、異文化への理解を深めるとともに日本社会や自分自身を客観的に見ることができました。また短期留学プログラムにも何度か参加し、発展途上国のフィールド、企業や国際機関へ訪問したこともあります。これらの経験から、当事者意識を持って問題に取り組むことや、学問、国際的なフレームワークを意識して俯瞰的に考えることの重要性を学びました。

もちろん、学内にも国際的な環境が用意されています。例えば、人間社会学域国際学類では英語による専門科目が多数開講されており、わたし自身も外国人留学生が半数を占めるゼミに所属し、英語で指導を受けています。国際経験豊富な教員から指導を受けることができ、当たり前のように留学生がいて、日常的に外国語が飛び交う環境があったからこそ、海外への関心をより強め、躊躇することなく海外へ出かけることができたと思います。

また、わたしが参加しているSGU採択校で唯一のSGU事業推進を目的とした学生団体「KU-SGU Student Staff」による活動もユニークな取り組みです。学生自らの発案により企画・実施されるもので、外国人留学生と日本人学生の相互交流の促進を目的としたバッジの作成、グローバルに活躍される講師の招へいなど活動は多岐にわたります。

グローバル社会は多様性、そして不確定要素にあふれています。このような社会で活躍するには専門性や語学力はもちろんのこと、異なる価値観や文化を超えた協調をコーディネートできる能力が重要だと、さまざまな国際経験や大学での学びを通じて感じました。今後は、このような経験を通して学んだことを具体化し、社会に還元できる形にするため、大学院への進学を予定しています。

データ採集に協力してくれた現地の協力メンバー(フィリピン・ムンティンルパ)
KU-SGU Student Staffの活動の一環として公開市民講座にて司会を担当
国際連合本部での研修
(アメリカ・ニューヨーク)

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

熊本大学

何が起きるかわからない「不確か」な環境で、
自分の中の「確かなもの」を築いていく

熊本大学

三宅 千夏

文学部 総合人間学科 4年

大学3年生の夏休みに一人でラオスへ旅に出ました。特に印象的だったのは、首都ビエンチャンで見た、進む都市化と人々の従来の生活が共存している光景。街中では大型商業施設やビルがどんどん建設される一方で、中心部から少し外れると未舗装の道路があり、家庭ではニワトリを飼い、休みの日には知り合いで集まって昼からビールを飲み談笑します。近隣諸国の企業やODAによって進められているラオスの近代化が、人々の生活にどういった影響をもたらしているのか、改めて自らの目で見て考えたいという思いからラオス国立大学への交換留学を決めました。

留学中は、ラオス人の生活を知るために、できるだけ彼らと同じ生活をするよう意識しました。食事は寮周辺でもち米と惣菜を買い(1食約60円)、服や靴も近くの市場で買ったものを着用。振る舞いについても、例えばラオスの学生は校内で先生に会うと、両手を合わせて軽く頭を傾けて挨拶するので、私も同じように行いました。それは、ラオス人に自分を受け入れてもらえるように、現地文化に馴染みたいという意思を示すためでもあります。

日常生活以外にも数々の体験ができました。仏教行事や結婚式に参加することで現地の信仰や文化を学んだり、ボランティアとしてお坊さんに日本語を教えるためお寺へ通ったり。バスで全国を旅行して、地域ごとに全く異なる社会があると知れたことも貴重な経験です。

現地での生活で感じたのは、「柔軟性」と「確かなもの」の両方を持つことの大事さです。留学中はずっと、毎日何が起きるかわからない「不確か」な環境での生活。授業の開講日がなかなか決まらない、人と会う約束が無しになるといったことはよくあります。最初は文化の違いに戸惑いましたが、徐々に慣れ、予定が変わっても柔軟に対応できるようになりました。また、自分の中に確かなものを持つことの大切さも学びました。例えば、大きな目的、意思、知識などです。これらをしっかりと持つことで、海外でも地に足が着いている感覚と自信が持てますし、現地の人からも、ただの外国人ではなく、個性のある一人の人間として理解してもらうことができると思います。これはラオスに限りません。異なる文化を背景に持つ人々が共生するグローバル社会では、強い意思、大きな目的の下でしっかりと知識を蓄え、状況に柔軟に対応する必要があるのだと体感しました。

ラオスでの生活を終え、現在は大学4年生。留学中に生じたラオス社会についての新たな興味や疑問について研究するため、卒業後は大学院へ進学するつもりです。今回の留学は、学校生活も人づき合いも何もかも手探りでしたが、次はこの経験を土台にして、さらに深くラオス社会を知れるよう、自分の中の「確かなもの」を築いていきたいと考えています。

北部ルアンパバーンのナイトマーケットにて
クラスメートと「教師の日」記念撮影

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

東洋大学

自ら道を切り拓くことの重要性を活動を通して伝えたい

東洋大学

三浦 央稀

経済学部 総合政策学科 4年
TIPS(東洋大学学生団体)代表

大学入学以前からまちづくりに興味を持っており、中でもフランスのストラスブールとアメリカのポートランドの街に魅力を感じていました。東洋大学にはこの2都市への留学プログラムがあると知り、フランス・ドイツに2週間、アメリカに半年以上の留学を経験しました。学部1年次に経済学部欧州研修で訪れたフランス・ドイツが私の海外初体験。この経験が、さらに広い世界へ飛び出す第一歩になったと感じています。

大学受験当時は英語に苦手意識がありましたが、2年次の留学前に語学力をつけたいと学内のAchieve Englishプログラムを利用。TOEICも200点以上伸び、アメリカでの語学留学では臆せず自分からコミュニケーションを取ることができました。留学中は現地の大学生と交流したり、街並みや文化を鑑賞したりする中で、①広い視野を持つこと、②現場を見ること、③現地で学ぶことの重要性を実感。語学だけでなくまちづくりについても見識を深めたいと、自ら現地企業のインターンシップやボランティア活動にも参加しました。大学の先生の伝手を辿ったりして人脈を広げ、現地でしか得られない経験を積みました。語学留学という枠に収まらず、自ら行動して活動範囲を広げたことで、本当に学びたい研究分野についても深められたのだと思います。不安や怖さは少なからずありましたが、小さな成功体験を重ねていくことが自信となり、異文化の中でも主体的に行動できたのでしょう。

現地の人と関わる中で感動したのが、海外の学生たちのSDGsへの意識の高さやその行動力。「自分も日本で何かできるのではないか」と考え、日本の学生たちが行動力を持てるような基盤をつくりたいと学生団体「TIPS」を設立しました。設立当初は英語でビジネスプレゼンを行うHultPrizeを通じて、やりたいことが見つからない学生に目標を見つけてもらうことが目的でしたが、この思いは活動の幅が広がった今でも変わりません。TIPSの活動テーマは「SDGs・ダイバーシティ×学生の成長」ですが、最も重視しているのは学生の成長。東洋大学が設立から掲げている「哲学すること」を理念に活動しています。これは、先入観に捉われずに物事の本質に迫り、自らの問題として深く考えながら主体的に社会の課題に取り組むことを示しています。与えられた道筋を辿るのではなく、課題を解決するにはどうすればよいのかを考える力が、今の学生に求められる力です。私自身は海外留学の経験を経て、自ら問いに挑むことの重要性に気づくことができましたが、日本の学生たちにはまだまだ浸透していない考え方でしょう。今後もTIPSの活動によって「自ら考え、行動し、答えのない問いに挑む力」の重要性を学生自身に気づかせ、一人ひとりがその力を磨くきっかけづくりをしていきたいと考えています。

2019年BRITA「学生マイボトルコンテスト」でBRITA賞を受賞
語学留学期間は休暇を利用してヨーロッパへも足を運んだ

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2

創価大学

多様な価値観に触れ、国際平和の懸け橋となる

創価大学

プリシラ クァンシマ シナイパ アディシン

国際平和学研究科
国際平和学専攻 修士課程 2年
ガーナ出身

私が在籍する創価大学の国際平和学研究科(SIPS)は、スーパーグローバル大学創成支援の一環として2018年に開設された大学院の新しい研究科です。外国人留学生が多く在籍し、2019年度の学生28名の出身は15カ国・地域に及びます。8名の教授陣もそれぞれ異なる国の出身です。英語を教育言語としており、国際色豊かな環境の中で、「国際関係論」と「平和学」といった、研究科の2つのコアを軸とした「国際平和学」を対象に学びを深めています。グローバル社会の対立の原因や解決方法などについて、複眼的な視点から捉え直し、総合的な視点を養う点がこの学科の特徴。地球規模の問題を解決すべく、世界市民として視野を広げながら、日々勉学に励んでいます。

私が初めて日本を訪れたのは2016年。ガーナ大学の大学院生だった頃、学科長の選出を受け、交換留学生として創価大学で学ぶ機会を得ました。創価大学では、さまざまなバックグラウンドを持つ留学生が学んでいます。私が居住していた国際学生寮では日本人学生と生活をともにしており、寮で過ごす日常生活のいろいろな場面で多様性を感じることができました。また、熱意ある学生が多く、いつか世界に影響を与えたいという私の情熱を熱心に聞いてくれたのも、再来日してSIPSで学ぶよう私を勇気づけてくれたのも、そこで出会った仲間でした。

私は「平和・世界市民論」、「アフリカにおける国家建設」、「内戦と和平プロセス」などの授業を履修しており、特にサハラ以南のアフリカにおける若者の失業を減らすための、デジタル技術と多国間組織の役割について研究しています。この研究は、持続可能な開発目標のSDG8、ディーセント・ワークと経済成長の達成にもつながるものです。

SIPSの授業はディスカッションがベース。やりがいと学びがたくさんあり、学修に没頭できています。異なる国や文化圏から来ている学生同士でアイデアを共有することで、地球規模の問題に関心を持ち、革新的で持続可能な解決策を見つけていくことに自信を持つことができました。ほかにも、創価大学主催の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)のポストイベントなどの国際会議での発表をはじめとしたさまざまな機会があり、日々多くの刺激を受けています。

日本での生活は困難なこともありますが、職員の方々からのアドバイスや臨機応変な対応など、学業面以外でも充実したサポート制度が整っています。また、教授陣も真摯に相談に乗ってくださり、学生を第一に考えてくれるため、とても心強い存在です。平和で持続可能な世界へと国際社会を牽引できる人材になれるよう、これからも学びを深めていきます。

国際平和学研究科の1期・2期生
ラーニングコモンズSPACeも積極的に活用

出典:東洋経済アカデミックSGU
(スーパーグローバル大学)特集 Vol.2