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奈良先端科学技術大学院大学

欧州地域訪問(キャリア支援)

2023.02.09

2022年12月9日~19日、教育推進機構の谷口直也UEA・特命助教と新城雅子客員教授がドイツ、オランダ、スイスを訪問し、日本人学生の海外挑戦インターンシップ先や外国人留学生の海外ポスドク就職先開拓を目的に、本学およびキャリア支援室の取り組み紹介、研究室紹介、訪問先との情報・意見交換を行いました。キャリア支援室としては、コロナ禍以前 2019年1月の米国西海外地域訪問から実に4年ぶりの海外訪問となります。


訪問実施の背景
キャリア支援室では2019年より海外研究インターンシッププログラムを開始し、これまでに本学研究科3領域(情報科学・バイオサイエンス・物質創成科学)からそれぞれ海外挑戦を志望する日本人学生の海外渡航またはオンラインインターンシップを実施してきました。今年度は情報科学領域の博士後期課程学生がドイツ人工知能研究センター(DFKI)に派遣され、研究の取り組みやラボメンバーとの交流が評価されたことから来年度以降も継続した学生交流が期待されています。また2022年5月1日現在、本学は世界39か国から304名の外国人留学生を受け入れ、学生の4人に1人が留学生で構成されています。留学生の本学での修士又は博士学位取得後のキャリアとして、日本での就職・ポスドク勤務希望と同様に、アジア欧米を中心とした海外での就職、ポスドク勤務希望も増大傾向にあります。こうした背景からキャリア支援の枠組みを広げるべく、本学研究室の欧州での共同研究先および欧州地域でのキャリア・人脈が豊富な新城客員教授のネットワークを活用し、将来の具体的な実施開拓を見据えた複数の面談を行いました。


【ドイツ訪問】

<ドイツ人工知能研究センター(DFKI)>
https://www.dfki.de/en/web
12月12日、谷口UEAと新城客員教授は今年度海外インターンシップ実施機関 ドイツ人工知能研究センター(DFKI)を訪問しました。DFKIはドイツ南西部のカイザースラウテルンのほか、ドイツ国内数か所に研究施設を構える人工知能ソフトウェアの主導的研究所であり、官民協調モデルに基づいた官と民が出資する非営利有限会社です。訪問ではAndreas Dengel所長らとの面談が行われ、谷口UEAから大学紹介およびキャリア支援室紹介を行ったのち、新城客員教授から本学関連研究室の個別紹介を行いました。その後、Dengel所長からDFKIの研究分野・プロジェクトについてご説明いただき、AI活用が望まれるメディカルおよび農業分野を含む多様な分野での学生交流や共同研究の可能性について協議が活発に進みました。ポスドク採用についても本学からの応募を歓迎する旨のコメントを頂きました。その後記念撮影が行われ、ランチミーティングでお互いの親睦を深める機会となりました。



DFKI 訪問時 Andreas Dengel所長らとの記念撮影(上左から2番目がDengel所長)


<ジェトロデュッセルドルフ事務所>
https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/de_dusseldorf/
12月13日午後、谷口UEAと新城客員教授はデュッセルドルフ市内にあるジェトロ事務所を訪問しました。当日は同事務所の田村千尋次長・作山直樹所員より、ドイツ基本情報(国内経済状況、貿易動向等)や新型コロナウイルス感染状況、日系企業の動き、ドイツ国内の政治状況、エネルギー事情等について詳細なご説明を頂きました。ウクライナショックによるエネルギー高の影響が生活面において大きく生じており、電気ガス・ガソリン・パンの価格などの高騰が、日本からのインターンシップや留学においても深刻な課題となっているそうです。新型コロナウイルスへの対応については昨年秋より対面イベントが開催されるようになり、ドイツで主流となっている見本市ビジネスが徐々に再開されているとのことでした。実際、街中ではマスク着用者はほとんどいませんでした。(列車では着用義務によりほぼ100%着用)今後、本学の地元拠点ジェトロ奈良事務所とも連携を行いドイツでのキャリア支援開拓にご協力いただけることとなりました。



ジェトロデュッセルドルフ事務所での記念撮影(一番左が田村次長、一番右が作山所員)


【オランダ訪問】

<デルフト工科大学 電子数理情報工学部(石原研究室)>
https://qutech.nl/lab/ishihara-lab/
12月14日午前、新城客員教授はデルフト工科大学の石原良一准教授の研究室を訪問しました。石原研究室には、本学物質創成科学領域の複数の教授が今までに共同研究や学生派遣で実績があり、今回直接訪問し、本学の将来の機会拡大希望に対し、巾広いポジションでの積極採用案内およびセミナー開催提案がありました。



デルフト工科大学電子数理情報工学部

DSMバイオテクノロジーセンター

<DSM社 バイオテクノロジーセンター>
https://www.dsm.com/corporate/home.html
12月14日午後、新城客員教授はデルフト市内にある総合化学メーカーのDSM社(以前の所属企業)のバイオテクノロジーセンターを訪問しました。当センターで食品科学部の薬事担当者と面談し、将来新卒外国人学生の契約採用の可能性を示唆いただきました。高い英語力と日常会話レベルのオランダ語力が期待されています。


【スイス訪問】

<Genedataスイス本社>
https://www.genedata.com/
12月15日、谷口UEAと新城客員教授はバーゼル市内にあるGenedata本社を訪問しました。Genedata社はNovartisからのスピンオフバイオインフォマティクス企業で新城客員教授が現在もサイエンティフィック コンサルタントとして在籍しています。本企業の日本支社には3名の本学OBOGが勤務しており、本学に相性のよい事業会社です。訪問では最初にCEOのDr. Othmar Pfannes氏との面談が行われ、本学紹介の後、短期インターンシップ受入や採用の可能性について前向きな協議が行われました。その後、ProfilerビジネスユニットヘッドのDr. Tamas Rujan氏と日本ビジネス担当Dr. Shunya Kondo(近藤俊哉)氏との面談が行われ、カジュアルな雰囲気の中で本学の特色や学生の様子、スイスでの生活面の情報等について様々な情報交換を行いました。バイオインフォマティクス使用経験およびビジネスレベルの英語力があれば、本企業の採用ポジションにはいつでも応募可能(世界中から応募多数:競争率100倍以上)とのことです。



Othmar Pfannes CEOとの面談

記念撮影(右から近藤氏、新城客員教授、Tamas氏、谷口UEA) 

<ETH Zürich in Basel, D-BSSE>
https://bsse.ethz.ch/
12月16日午後、谷口UEAと新城客員教授はバーゼル市内にあるETH Zürich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)傘下のD-BSSE(Department of Biosystems Science and Engineering)のDr. Sven Panke教授を訪問しました。本学紹介の後、Panke教授よりETH Zurich in Baselの概要説明を行って頂き(本学と同様Biology, Engineering Computationの3本柱)、D-BSSE教員や研究グループ、バイオプロセス研究室の紹介を頂きました。学生主導で国際学会の場などで直接PIに挨拶することや、前もってコンタクトを取り研究室訪問を行うことが有効であるとコメント頂きました。今後インターンシップ等プログラムでの学生派遣、コラボレーションが期待されます。


ETH Zürich in Basel訪問時 記念撮影 (一番右がDr. Panke教授、一番左がDr. Hans-Peter Hohmann
[新城客員教授のRoche/DSM時代の同僚 現在バイオコンサルタント、企業研究出身者としてETHでキャリアセミナー実施経験あり])


<Biosyntia in Denmark>
https://www.biosyntia.com/
12月16日午後、谷口UEAと新城客員教授は、引き続き上記D-BSSE内で、Dr. Hans-Peter Hohmannがアドバイザーを務めるDenmarkの成長著しいバイオベンチャーBiosyntiaのCTO Dr. Jochen Försterとオンライン面談で情報・意見交換を行い、今後のインターンシップなどの機会構築で合意しました。


今回の欧州地域訪問では、谷口UEAからの本学での積極的でユニークなキャリア支援の取り組みや修了生の活躍等(欧州各国でのポスドクの実例)の紹介に加え、新城客員教授からの複数の本学研究室個別紹介が奏功し、複数の訪問先において本学との今後の学生、研究交流に非常に前向きかつ具体的な提案を頂くなど本学3領域の研究と相性の良い多様な分野での連携が期待される訪問となりました。
学内で得られる産業界およびアカデミアでのネットワークを活用し、現地訪問で更に対面でのネットワーキングを行うことで、将来連携できるキャリア支援対象地域・組織を拡大することができる事を今回の海外訪問でも実証できました。今後、対象地域を拡げ、日本人学生・留学生の海外活躍機会を創出することで、よりグローバルなキャリア形成支援の充実が期待されます。