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SDGsとは
2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」の成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。アジェンダは、人間、地球および繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げました。この目標が、17の目標(ゴール)と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。SDGsは、今後のサステナビリティを考えるうえでの世界の共通言語として位置付けられるもので、世界に目を向け改革を推し進めている本事業の採択校でも、各ゴールの達成に繋がる研究・活動が数多く行われています。ここでは、37校の取組の一部を各ゴール別に紹介します。
下記の各ゴールをクリックすると採択校による取組の一例が下部に表示されます。
立命館大学
『文化遺産と地域防災』による開発途上国人材の育成
ユネスコ・チェア国際研修『文化遺産と危機管理』
立命館大学歴史都市防災研究所が実施する「文化遺産と危機管理プロジェクト」の目的は、①地域の文脈の中に根付いた文化遺産の理解に基づく総合的な危機管理計画を策定する能力の開発と、②継続的な学術的支援による国際的なネットワークの形成、③以上の活動を通した文化的な人間社会の持続へ向けたSDGsの達成とユネスコ中期戦略目標5(平和、持続可能性及び社会的包摂のための国際科学協力の強化)への貢献にあります。
本国際研修では、今までに互いの分野と接点が少なかった「文化遺産保護」と「防災」分野の政府や研究機関の専門家を協同させ、文化遺産および歴史都市の価値を踏まえた防災計画を作成する手法を理解し、その基礎的な知識と実践方法を習得することを主な目的としています。各国の歴史都市の価値と課題を理解し、文化遺産防災対策を推進し、各国での文化遺産防災リーダーとして活躍する高度な人材育成を目指しています。
国際的な文化遺産防災学のネットワーク・ハブ
文化遺産とこれを取り巻く歴史都市を災害から守るためには、関係する様々な分野の研究者や機関が協力して、総合的な視点から研究しなければ、技術開発や研究成果を実社会の施策へと反映することはできず、こうした広い分野における国内外のリソースが連携するためには、それを可能にする場が必要です。本研究所では、これまでの実績を基盤にさらなる発展を図ることで、文化的で安全な社会の発展に貢献するための方策を国内外に提供できる、教育研究のための拠点形成を目指しています。
立命館大学
立命館大学国際平和ミュージアム 展示を通してSDGsゴール実現を目指す
立命館大学国際平和ミュージアム 常設展
立命館大学国際平和ミュージアムの地階展示室では「一五年戦争」「現代の戦争」の2つのテーマを設定し、戦争の実態を通して、平和な世界のために何をしなければならないのかを展示しています。日本の「一五年戦争」の加害と被害の実態に加えて、第一次世界大戦からイラク戦争に至るまでの世界の戦争や紛争を描いています。
2階展示室では「平和をもとめて」のテーマで、現在の世界にあるさまざまな問題や平和な世界をつくるための人びとの活動について展示しています。また、1階の国際平和メディア資料室では、平和関連の図書・雑誌資料・AV資料約48,000点を所蔵しています。
1992年に開設
立命館大学国際平和ミュージアムは、「平和創造の面において大学が果たすべき社会的責任を自覚し、平和創造の主体性をはぐくむ」という理念に基づき、大学立の平和博物館として1992年に開設されました。本ミュージアムの活動は、大学に求められる平和創造にむけての社会的責任を果たすものであり、「立命館憲章」の実践でもあります。
「みて・かんじて・かんがえて・その一歩をふみだそう」
立命館大学
韓国・台湾の学生とアジアの平和な未来について共に考える留学プログラム
Asian Community Leadership Seminar
立命館大学、慶熙大学(韓国)、淡江大学(台湾)が三大学共同で開講する夏期短期留学プログラムです。毎年8月に各大学から10名の学生が参加し、各国を1週間ずつ一緒に滞在する「移動キャンパス」の形態でプロジェクト学習を行います。学習テーマは「Peace」「Asia」「Future」の3つのキーワードを軸に、フィールドワークやグループワークを通じて異文化理解や東アジアの歴史や現代文化、産業を学ぶことが出来ます。
参加者がお互いに学びあう多文化間共修
この留学プログラムは、語学力を伸ばすだけでなく、文化的背景の異なる学生がお互いに学びあう多文化間共修を取り入れています。3週間の短期間でそのような協同学習を行うために、プログラムの序盤である立命館大学でのタームではグループワークの時間を通じて対話を重ね、参加者同士の信頼関係を構築することを特に重視しています。
立命館アジア太平洋大学
グアテマラで安心して飲める水を提供する。学生の挑戦「みなぎプロジェクト」
みなぎプロジェクトは、中米グアテマラの東部に位置するチキムラという地域に住む人々に、安全な水を提供することを目的とするプロジェクトです。現地の学校やコミュニティで継続的に安全な水が飲めるよう、グアテマラの企業が現地で製造する濾過フィルターを寄贈し、フィルター設置後も現地の方が自分達の力で安全な水を確保し続けられるようにワークショップも開催しました。このプロジェクトは、発起人でありリーダーを務める皆木健太さんが、彼の生まれ育ったグアテマラに住む人々の健康問題を解決したいという思いに共感した仲間と共に活動を始めました。
2018年9月、メンバーがチキムラを訪れ、安全な水が十分確保されていないことを現地の保健所で確認するとともに、コミュニティのリーダーの方々にプロジェクトの目的や計画について説明し、取り組みへの賛同と協力の約束を得ました。
同年、11月と12月にかけて本学キャンパスでチャリティイベントを行い、グアテマラのコーヒーやハンドメイドクラフトの販売、プロジェクトの活動に関する現地の写真等を展示し、募金を呼びかけました。イベントには多くの方が足を運び、販売利益と募金を合計すると約10万円が集まりました。また、クラウドファンディングでは2019年2月までに約31万円の寄付が集まりました。これらの利益や募金は、寄贈するフィルターの購入や現地でのワークショップ開催のために使われました。
2019年2月、メンバー達はチキムラを再度訪問し、濾過フィルターの設置に加えて、フィルターの正しい使用方法やメンテナンス方法、安全な水の大切さを理解してもらうためのワークショップを開催しました。
今後はこのプロジェクトで得た知見や経験を多くの方へ共有し、2年後にグアテマラへの再訪問を計画しています。
立命館アジア太平洋大学
社会起業のためのHult Prize (ハルト・プライズ) への取り組み
「ハルト・プライズ」は、ビル・クリントン財団や国連が後援している国際的な学生(大学生、大学院生)向けビジネスコンペティションで、世界中で社会起業活動を喚起しています。毎年、世界中の大学で学内予選が実施され、勝ち抜いた学生たちが、世界中で実施される予選を経て米国ニューヨークの国連本部で行われる決勝大会に進みます。決勝で優勝するとアイデアを実現させるための資金100万ドル(約1億円)が投資され、国際的なビジネス・リーダーの支援によってそのチームの起業が支援されます。
ハルト・プライズはその年のテーマとなる社会課題を発表してから、優勝チームを決める決勝大会まで1年をかけて実施されます。テーマは、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」で掲げられた社会問題に沿って毎年設定され、2017年の社会課題は「Transform – Harnessing the Power of Energy(エネルギー問題、2025 年までに 1000 万人の生活に影響を与える持続可能かつ実現可能なアイデア)」でした。世界100ヶ国以上から約5万人が参加し、課題を解決するための5,000件のアイデアが立案されました。
2017年12月、APUの各チームが、クアラルンプールで実施される地域予選への代表権目指し、学内予選に挑み、学内予選を勝ち抜いたチームは、4人のベトナム出身の学生からなる「4G」です。彼らのビジネスアイデアは母国であるベトナムにおける環境汚染を解決すべく、廃棄物を燃料に再利用することで世界を変えようとするものでした。
2018年3月17日、「4G」は、マレーシアのクアラルンプールで開催された「ハルト・プライズ」の地域予選で見事2位を獲得。メンバーの学生の一人、KHUC Chi Anh Quanさんは、予選を振り返り「これは私たちにとって大きな成果です。1位こそ逃がしたものの、クアラルンプールのあの会場にいた300人の参加者の心に火をつけました。その火にインスピレーションを受けた300人の社会起業家はきっと、近い将来大きな変化を巻き起こすことでしょう」と語りました。
立命館アジア太平洋大学
革製品を通じてバングラディシュにおける社会貢献を
「LEGAME(レガメ)」は、バングラデシュの環境問題の改善、現地の女性の雇用創出、そして子どもたちへの識字率向上をミッションとし、APUの学生が革製品ブランドとして立ち上げ、現在は社会的企業として運営しています。
バングラデシュでは宗教上の理由から牛肉の消費が多い一方、牛革は活用されることなく廃棄され、川の水質汚染や、大気汚染につながっている現状があります。そこに目をつけたLEGAMEのメンバーは、(1)消費されない革を使用した製品を作り販路を広げることで、革の使用量を増やし環境問題を改善すること(2)革製品の生産を通じて現地女性の雇用機会を創出し、生活の質を向上させることを目指し、活動を開始しました。さらに、2018年6月にAPUの自主活動支援プロジェクトに選抜され、大学から支援を受けることが決定し、メンバーはミーティングを重ね、革製品の売上をバングラデシュでの植樹活動と本の寄贈を通じた教育支援活動へ還元することを決めました。
2018年9月、メンバーはバングラデシュへ向かい、皮革産業に関わる方々に環境問題や雇用問題等に関する現地の実情についてヒアリング調査を行いました。また、革製品を作る工場で丹念に手作りされる工程を見学し、廃棄される直前の大量の革も見学しました。メンバーはこの調査を通して改めて製品を売ることで環境改善に取り組めるとの思いに至りました。
完成した製品は、大学生協での店頭販売のみならずメンバーが学園祭や地元のイベントで販売を行っています。。メンバーは、自らが顧客へ直接販売を行うことで顧客の嗜好や要望を理解し、マーケティング活動に活かしています。
今後の活動は既存の製品のほか、アパレル製品にも商品展開を拡げていきたいと考えています。
奈良先端科学技術大学院大学
次世代のアグリバイオ工学を担う人材育成
【ASEAN諸国と日本の学生の共修による次世代のアグリバイオ工学を担う人材育成】
ASEAN 諸国は、約6億5千万人の人口と豊富な生物資源を有し地理的にも日本に近く、我が国の農業・工業のパートナーとして重要な位置を占めています。また、地球規模での環境変化の著しい今日において、食糧の安定的供給、自然環境の維持、経済の持続的発展のための高付加価値を持つ農産物と加工製品の生産は、ASEAN 諸国および日本の重要共通課題となっています。
文部科学省からの「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受け入れ戦略」報告書(平成25 年)では、今後の成果が期待できる4 分野の一つとして農学が取り上げられ、特に、農業工学(バイオテクノロジー等)における研究・開発の重要性が指摘されています。これらを踏まえて、本プログラムでは、国連戦略目標であるSustainable Development Goals(SDGs)のうち、特に5 項目(SDG2、9、12、13、15)の目標の推進につながる課題を設定し、次世代の農業生物工学分野としての「アグリバイオ工学」を担う、最先端の知識および技術を持つ研究者・技術者の養成を目指しています。
具体的には、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシアといったASEAN 諸国の本学学術交流協定校を中心とした幅広い大学から優秀な博士後期課程学生を留学生として受入れます。そして、本学のバイオサイエンス領域における最先端の動植物学・微生物学を基盤とした応用生命科学と生物工学の研究、および物質創成科学領域における最先端の物質分析技術、環境・グリーン工学の研究を融合した先端科学技術研究の枠組みの中で、ASEAN 諸国の留学生と日本人学生の共修およびグローバル化の促進を図ります。これにより、アグリバイオ工学分野における新しい産業体系の創出、高付加価値農業産物などの開発に貢献する人材の育成を推進します。
広島大学
国際戦略2022
広島大学では、①平和研究・平和教育の推進と②SDGs達成への貢献を二つの柱として、2022年度を見据えた国際戦略を定めた。とりわけ、旧制広島高等師範学校を設立母体の一つとする強みを活かし、SDG4「教育」及びSDG16「平和」の達成に力点を置くとともに、自ら教育機関として本学で学ぶ者も働く者も成長を実感できる大学であることを国際化の指針とした。
本戦略では、「教育」「研究」「国際貢献・社会貢献」「ブランディング/国際化への基盤整備」を基本構成とした。更に、各戦略に対し、別途、具体的な方策を提案するとともに、資源の有効な配分の観点から地域戦略の提言を定めた。
以下、国際戦略2022に掲げる「グローバル人財育成」、「平和を希求する国際教養人の育成」及び「国際コンソーシアムの拡充」等を具現化する特徴的な取り組みを紹介する。
本学は、国際的な大学間コンソーシアムであるINU(International Network of Universities)に加盟し、加盟大学との学生交流や研究交流を推進している。毎年8月に本学が開催する「INU学生セミナー」では、海外のINU加盟大学の学生が広島に集まり、著名なゲストスピーカーとのディスカッションやワークショップ等を通じて、Global Citizenshipについて考え、討議する機会を提供している。
また、本学は、各国政府代表者や在京大使・在外日本国大使の方々に平和をテーマに講演いただく「ピース・レクチャー・マラソン」を企画・実施している。これは、原子爆弾によって破壊された広島が緑豊かな国際都市として発展する中、苦難の歴史を忘れず平和の大切さを語り継いでいくことを目的としており、構成員のみならず広く一般にも開放して、平和を考える機会を継続的に提供している。
広島大学
地域・国際と創る「持続可能な発展を導く科学」
広島大学は、「自由で平和なひとつの大学」という建学精神のもと、理念5原則【①平和を希求する精神、②新たなる知の創造、③豊かな人間性を培う教育、④地域社会・国際社会との共存、絶えざる自己変革】を持つ総合研究大学である。2017年に策定された長期ビジョン「SPLENDOR PLAN 2017」は、これまで精神的な支柱として共有されてきた理念5原則を、「持続可能な発展を導く科学」の確立を目指した行動計画へと具現化したものである。これを推進すべく、全学のSDGs関連活動のワンストップオフィスとして設置されたのがFE・SDGsネットワーク拠点(Network for Education and research on Peace and Sustainability: NERPS)である。
NERPSがミッションとしているのは、地球規模課題の解決に資する学内の取組みを集約し、SDGs達成に向けた研究力・教育力を強化しつつ、『持続可能な発展を導く科学』の確立を主導することである。その一環として、NERPSは新たな超学際研究「Peace and Sustainability」の提案を目指しており、2019年8月には超学際研究フォーラム「The Hiroshima Dialogue Forum on the Sustainability-Peace Nexus in the Context of Global Change」を開催した。国内外の現場最前線で活躍する専門家35名の議論の成果は、2020年に学術誌で公開予定とされている。また、NERPSは多様なステークホルダーとの連携強化や教育研究成果の積極的発信も重視しており、現在準備を進めている『広島大学SDGsレポート2019(仮)』はその重要なツールと位置付けている。
地域社会のSDGs目標達成のための課題解決に貢献することも、大学にとってきわめて重要な取組である。2019年に採択された文科省「科学技術イノベーションによる地域社会課題解決事業」を通じては、東広島市役所をはじめ、地域の多様なステークホルダーとともに「アカデミック・エンタープライズが駆動するサステナブル・ユニヴァーシティ・タウン構想」に取り組んでおり、NERPSは全学の調整主体を担っている。他にも、同年2月には「第3回広島大学SDGsシンポジウム」を主催し、地域の住民がSDGsを学び、SDGsを介してつながる機会をつくっており、今後も定期的な開催を計画している。
広島大学
PEACE学生交流プログラム
PEACE学生交流プログラムは、SDGsを踏まえた豊かで持続可能な発展を実現するため、カンボジア、ラオス、ミャンマー及びベトナム(以下「CLMV諸国」)並びにタイにおいて、(1)「食・医療(生命インフラ)」、(2)「環境・資源(持続的発展インフラ)」、(3)「教育・雇用(人材教育インフラ)」、(4)「言語・文化(伝統・尊厳インフラ)」(5)「国際経済・経営(経済発展インフラ)」の5領域における社会インフラ整備に貢献できる「研究力」及び「社会起業力」を備えた「人財」の養成を目的とした、CLMV諸国及びタイの15協定大学と広島大学及び広島経済大学の間で実施する双方向の学生交流プログラムである。
プログラム参加学生は、各大学が相互に提供する専門教育の履修を通じて、データ分析を通じて原因を科学的に究明し、課題を明確にする力「研究力」を強化するとともに、データやテキスト・マイニング的手法を用い、実現性の高い政策やビジネス企画等を立案する国際合同セミナー「SDGsアイディアマイニングワークショップ」及び専門家によるビジネス・経営と持続可能な開発目標の関係についての特別講義「社会企業セミナー」への参加を通じて、発見した課題の原因を十分に理解した上で、様々な視点から創造的で、具体的な新規事業・政策を立ち上げ、自ら行動に移す力「社会企業力」を育成する。
プログラムの実施を通じて養成された人財が、現地のニーズに即した開発プロジェクト及び公共政策立案者をはじめとした専門家として活躍することで、「ASEAN統合イニシアチブ」に基づくCLMV諸国に対する支援及びSDGsで定める17の開発目標に貢献することが期待される。
芝浦工業大学
SDGs を実現する環境システム教育
システム理工学部環境システム学科では、世界各国の共通目標であるSDGsの達成に寄与しつつ、学科独自の「SDGs」(S:サービスラーニング、D:デザイン思考、G:グリーンインフラ・エンジニアリング、s:システム思考)を教育の基本方針として掲げ、国際社会および地域社会の課題解決のための手法を学ぶ場や機会を提供しています。
必修授業においては、1年生の「環境システム入門」や3年生の「環境システム総論」において、SDGsに関連した地域課題について解説した上で、自分の将来目標をSDGsの目標と結びつけて考える個人作業やワークショップを導入し、3年生が1年生にSDGsの学び方について教えるという合同授業も実施しています。また「環境システム応用演習」や「総合研究」などにおいて、まちづくり提案や研究成果がSDGsのどのゴールを関連するかを明示することを義務づけています。
一方、国際交流活動も授業に頻繁に取り入れており、2019年度はドイツのミュンヘン工科大学にてSDGsをテーマにしたPBLを実施したり、マレーシアやインドネシアにおいて現地学生とともにまちづくり・建築に関するグループワークを行っています。また、グローバル教育に力点を置くさいたま市立O国際中等学校と連携し、3年生や留学生が中学生とSDGsをテーマに英語で討議する授業を実施しました。さらに埼玉県立W高校において、環境システム学科のメンバーを中心に構成されているSDGs学生委員会と8つの埼玉県内の国際交流団体等が活動内容を紹介し、同校高校生が自らできる国際貢献活動について考える授業を行いました。
芝浦工業大学
水文学の研究/人と水と地球の未来をデザインする
地球温暖化による洪水対策の費用推計など、水を中心テーマに地球環境変化と人間への影響について研究を進めています。世界の農業生産のボトルネックは水資源の安定性であると考えられており、また、水問題の影響は、適切な対策を取ることのできない貧困国でより大きく現れます。したがって、地球温暖化の悪影響がどこに出るかを特定し、どのような対策をするべきかという科学的な情報を提供することは、貧困や飢餓の低減、安全な水の確保、人や国の不平等などに関係するSDGの達成目標に大きく貢献します。
気候変動の対策には、このような地球温暖化の悪影響を減らす適応策にくわえて、温暖化の進行をできるだけ抑えるための緩和策もあります。将来の世界の平均気温を2℃ないし1.5℃未満に抑えるためには、温室効果ガスの排出削減だけでは間に合わない可能性もあり、バイオ燃料の活用や植林のような、二酸化炭素を吸収する技術の活用も重要であると言われています。しかし、このような対策は、SDGsに対しては水と土地利用、食糧生産に関する相乗効果とトレードオフの両方が大きいことがわかってきました。世界のどの地域においてどの程度のバイオ燃料の拡大や植林が持続的に実施可能であるかを調べるためには、その地域の水循環や水資源の研究が必要です。水力発電の開発には発電ダムの上流の水資源を予測する必要がありますし、火力発電や原子力発電には冷却水の安定的な確保が重要で、水の量や温度に関する研究が活かされています。
このように、水文学研究室では、気象学や気候学、地理学、農学、人文科学などの学際的分野を取り入れた幅広い知識を活用し、水と人間の相互作用について研究することで、地球温暖化やSDGsを含む地球規模の課題解決に取り組んでいます。
芝浦工業大学
芝浦ビジネスモデルコンペティション
第4回芝浦工業大学ビジネスモデルコンペティション(以下、SBMC)は、芝浦工業大学在学生(学部生、大学院生、高校生含む)、芝浦工業大学教職員、卒業生、他の大学在学生、他の高校在学生、他の企業、団体の職員でSBMC企画の賛同者で構成されるチーム(代表者は大学生、高校生などの学生とし、共同参加者の過半数を学生とすること)又は個人を対象に、持続可能な開発目標(SDGs)に関連する社会課題を解決する新しいビジネスモデルやアイデアを募集しています。
SBMCでは、マーケットや販売計画、収支計画が示された事業プランを募集する『ビジネスモデル部門』と、斬新なビジネスアイデアを募集するアイデア部門を設けたほか、『アイデア部門』では、海外の大学生とのワークショップを通して英語による動画・提案も募集しています。
2020年1月31日に応募書類提出の締切後、(応募には事前にエントリが必要)、1次審査が行われます。
審査通過者については2020年3月1日に開催する最終選考会において、ビジネス部門については当日のプレゼンテーション、アイデア部門については動画の内容について選考委員による審査が行われ、審査結果によって起業支援金授与の他、賞状授与等が行われます。
ビジネス化が見込まれるビジネスモデル・アイデアは、事業化に向けて共催企業等より支援を受けることができる可能性があります。
大阪大学
アフリカの非正規市街地をフィールドとした持続型都市社会モデルの構築
「非正規市街地」とは、法律上建物の建設が許されない土地に、人々が自ら建物群を建設し、インフラが未整備なまま街が形成されたエリアです。貧困や不衛生、治安の悪化が極度に進行すると「スラム」と呼ばれる状況になります。非正規市街地は南半球の開発途上国に広く分布し、アフリカのほとんどの国では都市人口の半分以上の人々が非正規市街地で生活しています。
本研究では分野横断型の研究者からなるチームを編成し、ガーナの首都アクラの非正規市街地に改善のモデルを構築するための活動を行っています。アクラには82もの非正規市街地がありますが、Laと呼ばれる地域では、クラン(父系血縁集団)を基礎単位として、人々がお互いに信頼し合い、自らの地域を良好に維持しているコミュニティのあることが見出されました。この仕組みは500年以上にわたり継承されており、ガーナ、アフリカの誇るべき都市居住の文化です。
一方、このLa地域でさえスラムの様相を呈する多くの地区を抱えており、また、ディベロッパーによる商業主義的開発の圧力にさらされています。チームは、当地域の大切な精神と社会の仕組みを受け継ぎながら、生活を支える科学技術と伝統との融合を図り、コミュニティが運営する価値共創型企業の設立を支援しながら、生活環境を自律的に改善する都市社会モデルの構築を目指しています。
また、このモデルをより深刻な地域に役立てるため、本学のGlobal Knowledge PartnerであるUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)と連携し、極度の貧困・伝染病・大災害など危機的課題が集中するシエラレオネの首都フリータウンを対象に活動を始めています。
大阪大学
共生対話の構築
「共生対話」とは、共生のための対話、例えば、紛争や深刻な政治的対立、深い社会的亀裂があるところで、それを解決・克服・修復し、共生を実現するために行う話し合いを意味します。対話を「構築」するとは、話し合いを促し、それに向けて機運を高め、実際に話し合いの場を実現することです。こうした活動は一般に紛争解決と呼ばれており、広い意味での平和構築の一分野です。
国家間の戦争であれば、国際的な仲介努力が国際法に準拠しつつ行われ、国連や各国が調整して問題に取り組みます。一方、一国の内部で発生する民族紛争や政治危機は、国際社会が直ちに関与するものとはならないため、解決への道筋が立ちにくい場合があります。
北欧諸国やスイスなどは、国をあげて紛争解決に取り組んでいます。欧州には和平交渉の仲介や支援に特化した NGOも誕生しています。国連も「仲介支援ユニット」を設置し、対話の仲介への支援を開始しました。日本政府もカンボジアやインドネシアのアチェ、スリランカ、フィリピン南部(ミンダナオ)などの和平プロセスに関与してきました。
本研究は、調査研究と研究者・研究機関のネットワークを活かした対話の実践です。大学は持てる社会的信用や特定の利害にとらわれない立場から当事者たちの間を繋ぐことができます。2018年からヨーロッパの関係団体を訪問し、また和平プロセスに関する研究会を開催して、コロンビア、ネパール、フィリピンといった国々での紛争および解決の試みについて研究してきました。これからは1つの国の事例に焦点をあて、対話の失敗・教訓・遺産を見えるように研究結果をとりまとめ、発表・出版を行います。
下の写真は、東ティモールでの紛争後の村の和解集会。加害者・被害者・村人が一同に会し、事件を明らかにした後で、反省・償い・受入れについて取り決めを行います。受容真実和解委員会が組織したもので、コミュニティレベルでの和解のモデルとなっています。
大阪大学
日独6大学アライアンス(HeKKSaGOn)学生ワークショップ
日独6大学アライアンス(HeKKSaGOn)は、2010年に設立された日独二国間のネットワークで、日本からは本学をはじめ京都大学及び東北大学、ドイツからはハイデルベルク大学、カールスルーエ工科大学及びゲッティンゲン大学が参画しています。日独間の持続的な学術交流を通じて広く社会及び人類の幸福と繁栄に寄与することを目的とし、学生・研究者の交流や共同プログラム等を推進しています。
1年半毎に開催される学長会議の開催に併せて、各主催校が設定したテーマに基づき開催する「学生ワークショップ」を行っており、2018年4月は本学主催で、“What can we do for the Sustainable Development Goals (SDGs)?”を、2019年9月には、ハイデルベルク大学の主催で、“HeKKSaGOn for Future: How can the Japanese-German university network contribute to sustainable development?”をテーマに実施しました。ここでは各大学の学生が指定のSDGsテーマ(本学は目標12)について事前に考察し準備を進めたうえで当日発表を行い、その後、HeKKSaGOnの目的や意義への理解を深めるため幾つかのグループに分かれ、日独の学術会議に関する、既存の経済的援助や制度などについて議論を行いました。最終日には、6大学で4グループに分かれ、学生の立場からHeKKSaGOnがSDGsの達成にどのように寄与することができるかとの観点で議論し、グループ毎にプレゼンテーションを行い、提言をまとめ、全体会議の場で発表しました。
国や文化、専門が異なる学生が地球規模の課題解決に共同して取り組み、忌憚のない議論を通じて様々な視点から多くの発見が得ることができた有意義な機会となりました。
昨年度及び今年度に取り上げたテーマは次のとおりです。
2018年度 3,5,11,16
2019年度 3,7,11,12,13,14
長岡技術科学大学
SDGsゴール9の世界唯一ハブ大学に任命
長岡技術科学大学は、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に関連する革新的な取り組みの模範となる大学として、国連アカデミック・インパクト(UNAI)におけるSDGsのゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)の世界ハブ大学に任命されています。
ハブ大学はSDGsの17のゴールそれぞれに世界で1校のみが選ばれるもので、本学は日本を含む東アジアから唯一の選出となります。
本学はSDGsに早くから取り組んでおり、とりわけ実践的技術者教育に基づく「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進」の積極的な取り組み、国際会議STI-Gigakuの開催等の実績は任命に当たり高く評価されました。
本学は、エネルギー効率の向上などの環境問題の解決に向けて、産業界との共同研究を通じて技術の進歩に貢献してきました。例えば、本学での研究成果によって開発されたインバータ技術の改良は、省エネルギー型エアコンに実装されています。このことはまた、製造と販売においても、重要かつ多くの雇用を世界中にもたらしました。同様に、本学が開発した水処理技術は、インフラ企業からの安全な水道システムへの投資を集めています。本学は、SDGsの達成は、工学教育の基本要件であると確信しており、本学の教員の3分の2がSDGsのゴール9の達成を指向した研究を行っています。近年においては、地元の中小企業が、環境配慮をターゲットとして本学で開発された技術ソリューションの提供を受け、自社の成長につなげています。さらに、これらの企業は本学の海外拠点を活用することで海外への事業展開が可能となり、廃タイヤの処理など現地の環境課題に対応しています。
本学は全世界の大学を代表するハブ大学に選出された名誉と責任に基づき、産業と技術革新の基盤形成をはじめ、持続可能な世界を実現するための取組を牽引してまいります。
長岡技術科学大学
技学SDGインスティテュート(GIGAKU SDG Institute)
「技学SDGインスティテュート(GIGAKU SDG Institute)」とは、国内外での長期インターンシップ等の実践的工学教育に、次世代のエンジニアが身につけるべき国際社会の共通目標たるSDGs重視の考えを織り込んだ教育プログラムです。これまで本学で培われてきた先駆的な工学教育を進展させるもので、SDGsをエンジニア教育の根幹とすることで、さらなる工学系高度化教育プログラムを達成し、大学間連携から世界に拡大していこうとするものです。
本学は開学以来、「技術科学(技学=Gigaku)」の教育理念に基づく創造的能力の育成を目標として国内外の企業等における5か月間の長期インターンシップ(実務訓練)を必修科目とするなど先駆的な工学教育を行っています。
本学ではこれら実践的・創造的技術者育成の実績と、視野を世界に広げ国際的相互理解と協調の精神により地球社会の持続可能な発展を目標とするエンジニア教育が不可欠であるとの認識に基づき、SDGsを踏まえた教育システムを構築し質の高いエンジニアを育成すること、将来の工学教育のあり方を整えること、そして持続可能な開発のために科学的な国際連携を推進することを目的とした「技学SDGインスティテュート」プログラムを設立しました。
「技学SDGインスティテュート」は、本学の学部-大学院一貫教育システム(SDG Engineer Course)、大学院社会人留学生特別コース(SDG Professional Course)、技術科学イノベーション専攻(GIGAKU Innovation Program)を網羅しています。
また、このプログラムは「UNESCO Chair on Engineering Education for Sustainable Development」としてユネスコチェアプログラムに認定されており、さらなる開発と発展が見込まれます。
2019年には本プログラムの理念に賛同する6カ国9機関と共同で複数国の高等教育機関等から構成される世界的な大学間ネットワーク「ユニツイン」への認定をユネスコに申請しており、SDGs解決と実践的技術者教育プログラムの世界展開を目指しています。
長岡技術科学大学
SDGsの各ゴールをテーマとする国際会議STI-Gigaku
長岡技術科学大学は、SDGsの発見と解決に特化した、学生主体の「科学技術イノベーションに関する国際会議」(STI-Gigaku:International Conference of “Science of Technology Innovation”)を継続して開催しています。共同研究等の成果を、SDG課題の発見と解決にフォーカスし、SDGsのどのゴールの達成を指向した研究成果かを明示した発表を行うことで、持続可能な開発のための諸目標とこれを解決する方法について議論し、SDGsの課題認識と貢献手法を意識させる機会を全国に広めています。
本学は、高等専門学校(高専)、大学、研究機関、企業等と連携し、技術科学イノベーション教育・研究を推進しています。また、国際連携教育を積極的に推進しており、国内外で100を超える大学や研究機関と学術交流協定を締結し、9か国に海外事務所を開設しています。国際会議STI-GigakuはSDGsの達成を目的に、これらの機関との連携により、研究成果を発信・共有し、教育研究の展開、国際的ネットワークの形成に取り組むものです。
2017年に開催された「国際会議 2nd STI-Gigaku 2017」には、日本全国から100名を超える大学生・高専学生が参加し、109件のポスター発表がありました。2018年に開催された「国際会議 3rd STI-Gigaku 2018」には、日本全国から210名を超える大学生・高専学生が参加し、123件のポスター発表がありました。回を重ねるごとに参加者が増加し、2019年に開催予定の「国際会議 4th STI-Gigaku 2019」はさらなる盛会が見込まれます。
東洋大学
短期海外研修Diversity Voyageを通じてSDGs(4.7)に貢献
Diversity Voyageとは、東洋大学とGiFT(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト)が協働で開催する短期海外研修プログラムです。「日本を飛び出し、Diversityに触れる・Diversityを生かす」をテーマに、次世代を担うグローバルリーダーの育成を目的としています。これまでにフィリピンやブータンなどアジア7か国で研修を実施し、約1,000名の学生が参加しています。
Diversity Voyageの特徴は、開催される国ごとで異なるテーマを設定し、ファシリテーターの指導の下、現地学生と東洋大学生とがグループを組み、フィールドリサーチを通じて現地の課題に対するアクションプラン(特にSDGs4.7に資するプロジェクト/アイディア)をチームの仲間とともに作り上げていくことです。例えば、ブータンで開催されるコースでは、現地の人々の生活を体感しながら、深刻化しつつある環境問題について現地の学生と一緒に向き合い、対話を重ね、伝統文化を尊重しながらブータンの未来に資する環境教育プログラムを創り、子供たちに届けました。ラオスで開催されるコースでは、エコツーリズムをテーマとし、伝統的な村でのホームステイを通じ、その土地が持つ素晴らしさや魅力を発見し、より持続可能な発展に貢献できるエコツーリズムのアイディアを現地の学生と一緒に提案しました。
本研修が持続可能な開発のための教育や文化多様性の理解を促進し、学生が世界に向けて次の一歩を踏み出すきっかけとなることを目指している中、実際に、本研修プログラムを切っ掛けに、研修終了後に学生団体を設立し、その国での活動を継続する学生もでてきており、単なる短期研修には収まらない多様な広がりを見せています。https://j-gift.org/toyo-dv11/
東洋大学
フルスカラシップを通じて、経済的に留学が難しい開発途上国の学生にも日本への留学機会を!
東洋トップグローバル奨学金A(フルスカラシップ)は、東洋大学が2015年に新設した奨学金で、本学の国際学部グローバル・イノベーション学科(募集定員30名)、同学部国際地域学科(同10名)及び情報連携学部情報連携学科(同20名)が、海外に住む外国人学生を対象に、入学金及び4年間の学費を免除の上、月15万円の奨学金を給付するもので、渡日前入試により対象者を選抜します。
経済的事情により日本への留学が難しい者のうち、高い英語能力と学習意欲のある優秀な学生に対して日本への留学機会を提供しています。2019年度入試では開発途上国を含む27の国と地域から240名の志願があり、47名の留学生への本奨学金の支給が決定しました。2015年に設置以降、延べ157名の留学生が本奨学金を受給し、上記3学科の英語トラックで専門分野の勉強をしています。
意欲的な留学生たちは、クラスをリードする役割を担うこともあり、多様な言語や文化的背景をもつ留学生が就学することにより、クラスの中にダイナミズムが生まれ、日本人学生と相互の異文化理解も促進されています。
東洋大学はアジアのハブ大学となることを目指して、国内生だけではなく、世界の学習意欲のある開発途上国の学生達へ質の高い高等教育の機会を提供する施策を続けていきます。
東洋大学
ミャンマー連邦共和国インレー湖の環境保全に関する研究
東洋大学国際共生社会研究センター(以下:センター)は、その英語名称である“Center for Sustainable Development Studies”が示す通り、2001年の設置以来、持続的な開発に関する研究をおこなってきました。特に、2015年4月からは、同年9月に発表が予定されていた持続可能な開発目標(以下:SDGs)を見据え、『SDGsの達成に向けた国際貢献のあり方に関する研究と実践とを行うこと』を目標として活動を続けています。
今回紹介するのは、「ミャンマー連邦共和国インレー湖の環境保全に関する研究」で、SDGsが目指す17のゴールの多く(ゴール、1、3、6、8、12、15、17)に関係しているものです。
インレー湖は、ミャンマー国東部のシャン州に位置し、湖上住宅や伝統的な漁法で知られる風光明媚な湖で、ミャンマーでも人気の観光地の一つです。野生生物保護区(Wildlife Sanctuary:1985年)、アセアン遺産(ASEAN Heritage:2013年)、UNESCO生物圏保護区(Biosphere Reserve:2015年)、ラムサール条約登録湿地(Ramsar Site:2018年)にも指定されています。
しかしながら、人口増加や観光開発に伴う汚水排水の増加、野焼きや森林伐採による流域の荒廃がもたらす流出土砂量の増加などにより、湖の環境悪化が進むとともに、生活利用への障害、健康被害などが指摘されるようになってきています。
本研究では、これらの問題解決を目指し、インレー湖にとって適切な環境保全を提示することを目標にしています。その目標の達成のため、水質分析や住民を対象とした聞き取りから汚染源等を特定し、精緻な水質シミュレーションを行い、インレー湖の水質がどのように形成されていくのかを分析しています。また、流域からの環境負荷の変化による水質への影響を分析し、それを住民に提示しながら、住民に理解され、受け入れられる環境改善策はどういったものなのかを検討しています。
なお、この研究では、フィールドでの実践活動として、湖上・湖畔の住民とともにインレー湖の環境の保全を考えるワークショップを開催したり、流域の保全を目指した植林(約3000本)を実施してきました。これらの実践活動と住民を対象とした調査は、センターの研究プラットフォーム機能を活かし、NPO法人地球市民の会(以下、TPA)との共同で「三井物産環境基金」からの研究助成を受けて『ミャンマー・インレー湖における環境悪化要因の分析と住民主体の環境型環境改善手法の構築』として実施しています。
今後もSDGsの達成に貢献する研究活動を国内外の企業や学術機関と連携し継続していきたいと考えています。
東京医科歯科大学
西アフリカ地域の感染症予防・対策研究
西アフリカは世界で最も深刻な感染症の被害を受ける地域である。同地域中心に位置するガーナにおいても、感染症の被害は甚大であり全死亡原因の約1/5を占める。特に小児においてはマラリア、下痢症による被害は大きく、その克服は公衆衛生上の重要課題である。また近年、世界規模で流行するデングウイルスが西アフリカに侵入し、小規模のアウトブレイクを繰り返しながら分布を拡大していることから、その監視と拡散防止措置が喫緊の課題となっている。加えて感染症治療時には正確な検査に基づく診断を実施せず、抗生剤を投与するため、薬剤耐性細菌が出現・蔓延し、治療の障害となっている。
東京医科歯科大学はガーナでのデング熱、下痢症疾患、薬剤耐性細菌の対策に貢献することを目的とし、野口記念医学研究所に研究者(2名)が常駐・滞在する拠点「東京医科歯科大学-ガーナ大学・野口記念医学研究所 共同研究センター」を設置して、分子疫学研究ならびに流行地サンプルを使った基礎研究を展開している。
具体的にはデング熱研究では不明熱患者検体よりデングウイルスを検出し、全ゲノム情報を決定してウイルス拡散を監視するための情報を蓄積している。また、下痢症疾患研究では対象をロタウイルスに絞り、ワクチン導入以前から現在に至るまで蓄積したウイルスゲノム情報を基にワクチン導入のウイルス遺伝子型の変化への影響を調べ、ワクチン効果の評価基盤整備を進めている。薬剤耐性細菌研究では治療や感染制御で問題となる基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌とカルバペネム耐性菌に焦点を絞り、検体からの耐性株分離、耐性評価、全ゲノム解析による耐性機構解明を行なっている。
以上の研究を通じ、西アフリカの感染症対策へ貢献することを目指している。
東京医科歯科大学
中南米地域の大腸がんの早期診断・治療技術の開発普及
日本では2人に1人の割合でがんに罹り3人に1人はがんで命を落とすと言われているが、この傾向は日本だけではない。世界保健機関(WHO)の集計ではがんの新規発症は1810万人、死亡者数は960万人と世界的に見ても増加傾向にあり、特に大腸がんの罹患者が急増している。中南米諸国は経済発展に伴ったライフスタイルの西洋化により大腸がんの罹患率・死亡率増加が大きな問題となっており、中でもチリ共和国はその傾向が顕著であった。チリ政府は対策を講じるため本学に協力を要請することとなった。
本学と中南米とのつながりは40年以上前に遡る。 1968年に本学の故・村上忠重教授が初めてチリを訪問、胃癌についての講演を行い現地医師たちが日本の高い医療技術に関心を持つきっかけとなった。その後も定期的な相互交流を行い強い協力関係が育まれてきたのである。2009年7月、本学はチリ保健省の要請を受けて協定を締結し、さらに中南米地域において教育・研究・国際貢献を展開する目的で2010年4月首都サンティアゴに研究拠点「東京医科歯科大学ラテンアメリカ共同研究拠点」を開設した。本学から医師を駐在派遣し現地大腸がん検診の確立に向けての環境整備や大腸癌診療の標準化、大腸内視鏡医の育成に取り組んでいる。2012年には主要都市で大腸がん検診(PRENEC)が開始され、早期発見と死亡率低下に寄与している。
本学の中南米展開は現地の人々の健康・福祉向上を目的とし、高水準の医療サービス提供に貢献してきた。学術的に見ても関連する医学論文が複数執筆され、数々の学会発表も行われている。医療に限らず学生・研究者の交流へと発展し、まさに本学の現地拠点を中心として日本と中南米の学術アライアンスが形成された。多種多様な文化・食生活・国民性を背景に国際医療協力や国際共同研究を継続することで、新たな治療技術の開発普及や病態・疫学的な新知見を獲得し、全世界の人々に向けた保健財政や人材育成、疾病予防に関する情報発信源としての役割が期待される。
東京医科歯科大学
タイ・マヒドン大学との国際連携専攻の設置
タイ王国を含むASEAN地域では、近年急速な経済発展に伴い高齢化が進んでいる。これは我が国の超高齢社会への推移に追随するものと言われ、特に顕著なタイ王国ではタイ国民の疾病構造に変化をもたらし、がんや生活習慣病の増加といった問題の解決が求められている。そこでこのニーズに応えるべく、本学の強みの一つである、特にがん治療で求められる集学的治療(外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法等、様々な治療方法を組み合せて行う治療)分野において、広範な知識と強いリーダーシップを兼ね備えた高度医療人材を育成していくこと目的とした国際連携専攻を設置した。
2019年6月26日に本学大学院医歯学総合研究科博士課程「東京医科歯科大学・マヒドン大学国際連携医学系専攻」の設置を可とする通知を文部科学省から受け、2020年4月からプログラムが開設されることになった。このプログラムは本学にとって3番目のプログラムとなる。またタイ王国において、初めての臨床医学系の大学院の開設となる。
本専攻は、修業年限が4年の博士課程で、入学定員は3名である。このプログラムでは、入学大学と連携大学の両方で外科系専門科学の知識を幅広く継続して修得することができるとともに、研究の実践と論文の作成においては両大学の指導教員が協力して指導するという、多角的な視点からの指導が受けられる。
本専攻では、本学のがん治療、とくに外科的治療に対する高度専門医療人材の養成のノウハウおよび高い研究力、シリラート病院医学部の豊富な症例数とそれらを基盤とした臨床研究の実績を活用した、実践的な教育・研究を行うことを目指している。それにより、医療ニーズの多様化に即応しうるリサーチマインドを持った、日本やタイ王国のみならずASEAN地域の医学・医療を牽引する高度専門医療人材、特にがん治療に精通した外科学分野の専門知識を熟知した外科医師を養成することが目的である。
東京外国語大学
共同サステイナビリティ研究専攻の設置
共同サステイナビリティ研究専攻は、今日人類が直面するグローバルな課題―とりわけ開発、環境、平和に関わる問題―の解決に向けて取り組むことがサステイナビリティ(持続可能性)研究の使命と意義であるとの考えに基づいて2019年度に、東京外国語大学、東京農工大学、電気通信大学の三大学が共同で設置した、博士後期課程教育研究プログラムです。
SDGsを、三大学の強み―「言語・リベラルアーツ及び地域研究の教育研究力」(東外大)、「食料、エネルギー、ライフサイエンス分野の教育研究力」(農工大)、「情報・通信(ICT)、人工知能・ロボティクス、光工学分野の教育研究力」(電通大)―を活かした文理協働の観点から現実的な課題として焦点化し、実践的な解決を目指す研究に取り組みます。
自身の専門性に軸足を置き、その専門的な観点から人類の未来の持続的発展のために、グローバル化社会の抱える地球規模の課題を分野横断的な問題として捉え、他分野の研究成果を取り入れることによってイノベーションを生み出すことができる学際的、越境的な実務人材を育てていきます。
東京外国語大学
講義「オリンピック・パラリンピックを考える」~SDGsの観点から
東京2020大会に先立ち、その重要なコンセプトであるSDG’sの観点から、大会の理念や経済効果等を学び、オリンピック・パラリンピックという国際的な祭典の意義を考える講座を10月から開講しています。この講座はグローバル化した現代社会だからこそ、その背後に渦巻く様々な政治的・文化的な要因を見抜く力を養うことを目的としています。
講座は学内のみならず、学外からも多数の講師陣を迎え、約3ヶ月間にわたり開講されます。
講義の内容は以下のとおりです。
10月2日:オリエンテーション
10月9日:オリンピック・パラリンピックと持続可能性①
10月16日:オリンピック・パラリンピックと持続可能性②~レガシー
10月23日:オリンピック・パラリンピックと人権①
10月30日:オリンピック・パラリンピックと人権②
11月 6日 :オリンピック・パラリンピックとジェンダー
11月13日:オリンピック・パラリンピックと平和活動
11月27日:オリンピック・パラリンピックと経済成長/雇用①
12月4日 :オリンピック・パラリンピックと環境
12月11日:オリンピック・パラリンピックとSDGs
-特に目標16の「平和と公正をすべての人に」を中心に-
12月18日:オリンピック・パラリンピックと都市開発
1月8日:オリンピック・パラリンピックと経済成長/雇用②~オリンピック関連産業
1月15日:東京2020大会の概要
このほかアクティブラーニングを通してオリンピック・パラリンピックやSDGsの課題について主体的に理解を深めます。
本授業は220名を超える学生が履修する人気の講座となっています。
東京外国語大学
日本・南アフリカ大学フォーラム(SAJUフォーラム)への貢献
2019年5月23日及び24日、プレトリア大学(南アフリカ)で開催された日本・南アフリカ大学フォーラム(South Africa - Japan University Forum:SAJUフォーラム)で、東京外国語大学現代アフリカ地域研究センターが日本側事務局を務めました。2017年の開催(於東京)に続いて第4回目となる本フォーラムには、日本、南アフリカを拠点とする研究者・実務家を中心に200名を超える参加者が集い、両国間の共同研究の現状と展望等について議論しました。約50の大学・研究機関の他、日本側からは文部科学省、日本学術振興会、科学技術振興機構、日本医療研究開発機構、国際協力機構、ジェトロ・アジア経済研究所等の代表者が、南アフリカ側からは、科学技術省、高等教育・訓練省等の代表者が参加しました。レセプションで現国際関係・協力大臣のナレディ・パンドール氏が挨拶するなど、同会議は南アフリカで大きな関心を持って迎えられました。本学から参加した松隈潤副学長は、開会挨拶で、本フォーラムがSDGsなどグローバルな諸課題に対処するプラットフォームとして実践的に活用されることへの期待を述べました。また武内現代アフリカ地域研究センター長は、二日目のセッションで本学の留学生受入れ制度について説明しつつ、南アフリカ人研究者を続けて招聘していることなど、同国との研究者交流が進んでいることを説明しました。 SAJUフォーラムは、文系、理系の枠を超えて自分の研究を紹介し、共同研究のパートナーを募ったり、大学間協力の可能性を議論したりする場です。SDGsなどの課題に対応するためには、国際的な共同研究が不可欠ですが、SAJUフォーラムはアフリカ屈指の研究力を誇る南アフリカとの協働を進めるプラットフォームとして、大きな期待を集めています。事務局として日本側を取りまとめた東京外国語大学に対しては、南アフリカ側から多大なる謝意の表明がありました。
関西学院大学
開発経済学でSDGsを推進 関学大栗田ゼミ
「開発経済学」とは、開発途上国に住む人たちの自由や可能性を広げるために何をすべきなのかを考える学問です。対象とする現象は多様で、SDGsの17ゴールにも多くが関連します。
その活動の幅広さとハードさで「ゼミ活動の概念を大きく超えている」とも言われる関西学院大学経済学部の栗田匡相准教授のゼミでは、経済学の学習のみならず、キャンパスを出ての国内外での実践や体験に重きを置いて開発経済学を学んでいます。
最大の学びの場が、全3年生が夏休みに行う海外フィールドワーク。約1年間におよぶ事前準備を経て、7月末から約1カ月間、アジア・アフリカの農村地域で研究調査に取り組んだ後、東南アジアに移動して1カ月半のインターンシップを経験します。2019年夏は、マダガスカルでの研究調査の後、インドネシアでインターンシップを行いました。フィールドワークの仕上げは、政策提言論文の執筆です。現地で目の当たりにした現実と、収集したデータを用いて書き上げ、学生論文大会やJICAなどで報告します。
研究活動と両輪となってゼミ生の成長に拍車を掛けるのが、学生主体で取り組む13の実践的なプロジェクトです。”Book For Children”プロジェクトは、海外フィールドワークで訪れる地を中心に開発途上国の子どもたちに絵本や教材を届けるもの。2019年にマダガスカルで配付した教科書は、増進堂・受験研究社の協力のもとで、子どもたちの非認知能力の向上を目的に栗田ゼミ学生が独自で作成しました。空間把握、仮説思考、論理的思考の3セクションそれぞれに例題と解説をつけ、難易度も徐々に上がっていくように工夫されています。
プロジェクトの場は、海外に限りません。地元関西でも中小企業の経営や防災、高齢・過疎対策、里山保全、地方振興などの課題・問題に目を向けた10の活動を展開。いずれも他団体や企業、行政をパートナーに、興味関心を同じくする2~4年生が密に連携しながら進めています。
栗田ゼミの活動は同ゼミのホームページ(https://kurikuriresearch.wixsite.com/main)で随時報告されています。
関西学院大学
高校生が徹底討議、「世界市民明石塾」
関西学院大学は、ミッション「“Mastery for Service”を体現する世界市民の育成」のもと、グローバルリーダーをめざす高校生を対象に、毎夏「関西学院世界市民明石塾」を開講しています。本プログラムでは、国際的視野と主体的な課題解決力、コミュニケーション力等を涵養するための高大接続事業として、日本人国連職員第1号であり、元国連事務次長の明石康氏(関西学院大学SGU招聘客員教授)を塾長に迎え、未来の世界市民の育成に努めています。毎年フォーカスするSDGsのゴールを定め、全国から集まった高校生が日英両言語でグループワークやディベート、声明の取りまとめ等に、大学生のサポートも受けながら取り組みます。
4回目となる2019年度は、全国の高校から選抜された30名の高校生が夏休みの期間に集い、「Challenges for SDGs!~生命(いのち)~」のテーマの下、SDGsのGoal2: 飢餓をゼロに、Goal3: すべての人に健康と福祉を、Goal6: 安全な水とトイレを世界中に、の3ゴールの達成について合宿形式で2泊3日集中的に学習、議論しました。講師として、明石教授を筆頭に国連・外交分野で豊富な実績を持つ関西学院大学の教員陣に加え、現役の国連職員も教壇に立ちました。
最終日に参加者が取りまとめた「世界市民明石塾における生命に関する青年の声明」では、当該ゴールを実現する上での根本的な課題として「経済格差、気候変動、紛争、生活環境」を指摘し、「教育がこれらの問題を解決する鍵」、「世界中の人々全員が同じ地球で共存しているということを認識してもらうことが大切」と提言されています。3日間のプログラムを修了した高校生からは「自分の目標がみつかった」、「国連のような組織で働きSDGsの達成に貢献したい」、「同世代の参加者から刺激をもらった」など前向きな感想が多く寄せられました。関西学院大学では次年度以降も未来の世界市民の育成を目指し、世界市民明石塾を継続して行きます。
プログラム詳細や声明全文は以下URLをご覧ください:
https://www.kwansei.ac.jp/unfa/news/2019/news_20190904_022843.html
関西学院大学
高校生がAIを活用してSDGsに挑戦!
関西学院高等部は2019年3月、文科省の「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援」事業に採択されました。メインテーマは"AI活用 for SDGs"。AIの活用によりSDGsの課題を解決できる能力を涵養することを通じて、Society 5.0を牽引し世界で活躍できるビジョンや資質・能力を有したグローバル人材の育成を目指します。
関西学院大学は、拠点校となる関西学院高等部をはじめ全国の連携校、協力企業等で形成する「アドバンストラーニングネットワーク」において様々なプログラムを提供し支援します。
なかでも「AI活用人材育成プログラム」では、生徒たちはAI活用の基礎をEdTechのストリーミングで学び、AIを活用してSDGsの課題を解決することにチャレンジします。2019年夏の第1回ワークショップには、関西学院高等部をはじめ、連携する県内外の高校から高校生計93名が参加しました。基調講演では二上哲也・日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業技術理事がSDGsの課題解決のためのAIを含むさまざまな技術事例を紹介。続いて、神余隆博・関西学院大学国連・外交統括センター長がSDGsについて特徴や課題を、巳波弘佳・関西学院大学学長補佐(理工学部教授)がAI技術の概要を説明しました。その後、グループに分かれて解決策を取りまとめ、発表しました。
このほか、関西学院大学は、各高等学校でのSDGsの課題研究を実践的なものにするために教員派遣なども行います。さらに、高校生の学びの成果を発表するWWL・SGH×探究甲子園、Harvard College Japan Initiativeとのワークショップ、国際機関や外交官を目指す生徒のための関西学院世界市民明石塾など、高校生が果敢にSDGsの課題解決にチャレンジする機会を多数提供していきます。
京都大学
エコ~るど京大 ―学生パワーで超SDGs!
「エコ~るど京大」は、学生を中心に、教職員や市民・企業人も加わり、サステイナブルキャンパス構築を目指して活動する、緩やかではあるものの、本気で活動するネットワークである。
日本人学生のみならず、留学生も巻き込み、互いに学びあうことで、実感を持って地球環境の危機を捉えると同時に、多様性と自由を重んじながら、様々なプロジェクトを展開している。
中でも力を入れているのが、ユニークなSDGs関連プロジェクト。具体的には、SDGs全体の学習や啓発のほか、食や資源・エネルギー、街づくりといった個別ゴールに関連するプロジェクトや国際シンポジウム、WS等。その代表例としては・・・
◆祇園祭×SDGs「こんちきジーズ」プロジェクト
京都はサステイナビリティの象徴であり、贅沢な学びの場である。例えば2019年は、祇園祭創始1150年と言われる。そこで、エコ~るど京大は、京都市や関係者と連携して、祇園祭から持続可能性・SDGsについて考える「こんちきジーズ」プロジェクトを立ち上げた。祭関係者のみならず、学生や企業人がチームを作り、総勢約100名で、調査・検討を進めている。時間はかかりそうだが、18番目以降のゴールや、SDGsのその先を目指して、悠久の時の流れと、無限の人の痕跡を辿っているところである。
詳しくは、こちら:https://eco.kyoto-u.ac.jp/?page_id=5474
◆京都大学プラヘラス宣言&プライド(Plide)チャート
プラスチックとの持続可能な付き合い方は、現代人につきつけられた課題と言っても過言ではない。メンバーは、議論に議論を重ね、考えに考えた上で、一つのチャートに行きついた。その名もプライド。全国・世界から注目を集めつつあり、調査と実践活動、発信を、並行して進めている。ポップなSNS配信「#カバンの中のプラ」にもご注目!
詳しくは、こちら:https://eco.kyoto-u.ac.jp/?cat=75
他にも、SDGsショッピングモール化プロジェクト「つづくプロジェクト」や、海洋資源保全のためのブルーシーフード企画、日本の田舎を守るためのサバイバル企画、超SDGsシンポジウムなどなど、個性とチームワークのバランスを取りながら、パワー全開で取り組んでいる。
事務局:京都大学環境科学センター、京都大学大学院地球環境学堂(浅利美鈴研究室)
京都大学
スーパーグローバルコース奨学金制度
京都大学の社会健康医学分野では、2016年度よりスーパーグローバルコース奨学金制度を創設し、医学研究科社会健康医学系専攻の専門職学位課程及び博士課程の学生が海外の大学と連携して研究を行い、海外の大学の指導教官及び京都大学の指導教官によるジョイント・スーパービジョンを受けられる機会を提供し、グローバルな視野を持つ研究者の養成を積極的に行っています。この制度を活用し、学生は自らが希望する海外の大学の指導教官を選び、研究指導を依頼する事ができます。また、海外の大学の研究者から直接指導を受ける為に、海外の大学に1週間滞在する為の経済的支援を行っています。学生は卒業までに国際的な学会やシンポジウム等で研究発表を行う事が必須となっています。オフィシャル・パートナー大学として、以下の7つの大学との連携が優先されますが、その他、学生が希望する世界各国の大学との連携が可能です。
・イギリス:ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院
・シンガポール:シンガポール国立大学
・タイ:チェンマイ大学、チュラロンコン大学、マヒドン大学
・台湾:国立台湾大学
・マレーシア:マラヤ大学
2016年度から2018年度までに専門職学位課程及び博士課程の学生がSDGsに関連する以下研究テーマでの研究を行っています。
研究テーマ
2016年度
・マレーシアの児童婚に関連する研究
・ザンビアでの非感染性疾患の研究
・高知県の高齢者の糖尿病に関する研究
2017年度
・マレーシアの子供の感染症抑制の為のワクチンへの親の信頼観に関する研究
・ケニアの非感染性疾患と食料安全保障に関する研究
・ブータンの非感染性疾患に関する研究
2018年度
・異なる年齢層におけるがんの発生の変化に関する研究
・前糖尿病になる前の状態の人の知識と態度に関する研究
・夜間勤務者の非感染性疾患の危険因子に関する研究
・HIV/AIDSのスティグマに関する研究
・大学生の身体活動に対する障壁に関する研究
京都大学
適切な人の移動に関する取り組み
「グローバルな取り組みは地域から」。これが社会活動で大切なことだと考えています。人の適切な移動はグローバルな課題ですが、どう向き合うかは地域でできることも多くあります。日本語が十分にできない移民やその子どもたちが増える中、学生とともに地域の小中学生と一緒に勉強し、教職員や京都市行政と協働するといった活動を実施しています。留学生にとっても日本社会を深く洞察する上で貴重な経験です。このような経験を通して地域における多文化共生の厳しい現実も体感します。また、フィリピンへ研修にも赴き、学習支援の経験をフィリピン政府に報告しています。さらにフィリピン政府職員を招聘し、大学のセミナーで報告をしてもらったり、視察を通じて日本でマイノリティとして生きることの現実を伝えています。2014年にフィリピン政府職員と東大阪の移民コミュニティを視察した際、人身売買といってもいいほどの、不適切な国際移動と雇用現場について聞き取りをする機会がありました。私たちは関係者と連携し、問題の解決に向け行動しました。最終的には全国紙でも1面で報道され、当時の田村厚生労働省大臣が「しっかりと対応」すると表明した事例もありました。
京都大学は中央志向が強く、地域貢献への評価は相対的に低いと実感します。しかし、地域にコミットする経験は中央志向だからこそ貴重なものとなります。そして、地域活動が教育・研究活動に昇華した時、小さな取り組みが想像以上にグローバルなSDGsへのコミットであることに気づかされます。多様な人々の包摂は、人口減少社会だからこそ焦眉の課題です。ジェンダー、出身地、障害の有無などの違いにかかわらず力を発揮できる社会に向かうようなSDGsに沿った社会活動を実践しながら、教育・研究活動を展開していきます。
文学研究科 安里和晃
国際大学
Hult Prize on Campusの開催
国際大学では、2018年から学生が主体となりHult Prize on Campusを毎年開催しています。Hult Prizeは、大学生及び大学院生を対象とした国際的なビジネスコンテストであり、持続可能な開発目標(SDGs)から毎年テーマとなる社会問題が選ばれ、それを解決するための事業プランを競うものです。
2018年は、”Harnessing the Power of Energy”をテーマに、人間のライフラインであるエネルギーを活用した6つの分野(Connectivity(通信)、education(教育)、agriculture(農業)、water(水)、mobility(移動手段)、health(健康))における課題を解決するアイディアを、出身国・地域によって3~4人で構成された10チームが発表しました。厳正な審査の結果、農業分野のアイディアを発表した赤道ギニアのチームが優勝し、全国大会へ進みました。
2019年は、多国籍の学生で構成された10チームが、”Youth Unemployment”をテーマに、今後10年以内に1万人の若者へ意味のある仕事を創出するためのソーシャルベンチャープランを競いました。優勝は、スーダン、シリア、キルギス出身の学生チームによる、難民支援のための無料オンラインプラットフォーム事業でした。審査員には、本学の教員、修了生のほか、世界銀行コンサルタントやビジネスパーソンを招き、回を重ねるごとに盛大なイベントとなっています。
本学に在籍するアジア・アフリカ地域を中心とした約60ヶ国・地域の学生が、それぞれのバックグラウンドや経験を共有し、課題解決に向け協働する取り組みは、本学のミッションである、「地球規模課題の実践的解決に貢献できるリーダーの育成」を具現化するものといえます。
国際大学
第1回国際SDGsフォーラム・第2回オープンフォーラム「世界と繋がる」を開催
2018年1月、公益社団法人日本工学アカデミーSDGsプロジェクト主催、国際大学共催で、第1回国際SDGsフォーラム兼第2回オープンフォーラム「世界と繋がる」を国際大学において開催しました。
午前に行われたオープンフォーラム「世界と繋がる」では、日本及び世界におけるSDGsファイナンスの事例紹介が行われました。本学国際経営学研究科に在籍するカメルーン出身学生がアフリカに焦点を絞った発表を、地球環境戦略研究機関のZin Zhou博士がSDGs各課題の関連性とネットワーク分析についての発表・解説を行いました。
午後は国際SDGsフォーラムを開催し、日本工学アカデミーSDGsプロジェクトリーダーである武田晴夫氏が、SDGsの産学官連携について報告しました。その後、本学の学生11名が9ヶ国(セネガル、ウズベキスタン、ミャンマー、ベトナム、南アフリカ、エチオピア、スリランカ、マダガスカル)を代表して、7つの目標(Goal 1: 貧困をなくそう、Goal 4: 質の高い教育をみんなに、Goal 5: ジェンダー平等を実現しよう、Goal 8: 働き甲斐も経済成長も、Goal 9: 産業と技術革新の基盤をつくろう、Goal 11: 住み続けられるまちづくりを、Goal 16: 平和と公正をすべての人に)に関してプレゼンテーションし、各国の問題と目標達成へ向けた提言を行いました。
プレゼンテーションの後には、学術団体や企業も交えてSDGsの達成目標ごとにグループへ分かれ、各国の課題、解決策、日本企業の貢献について活発な議論が行われました。本学の多様なバックグラウンドを持つ学生との交流を通じて、SDGsをより現実的な課題として認識し、効果的なファイナンススキームを構築するために必要であることを理解する機会となりました。
千葉大学
文理融合PBLを用いた日本-ASEAN諸国双方向での教員研修プログラム
本取組はASEAN 諸国で実施する教員インターンシップによる文理融合型のプロジェクトベーストラーニングである。教員養成システムのグローバル化の先鞭をつけるものであり、SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」を基盤とし、その発展的成果としてゴール8「働きがいも経済成長も」及び9「産業と技術革新の基盤をつくろう」にも到達する取組である。さらにグローバル時代に対応した新たな教育者と理系人材を同じプラットフォーム上で育成することにより、教員養成の意識を根幹から革新しグローバルかつ創造的な教育活動を加速する試みでもある。
プログラム内容は、教育学研究科院生・学部生と理系の院生・学部生のグループが協働し、千葉大学が世界に誇る先端研究に関する授業をASEAN諸国の小中高等学校において実施するものである。授業を通し、学生がグローバル人材としての能力を獲得することと共にASEAN諸国の人々の日本に対する理解を促進することを目標としている。
この取組みの特徴は、2種類の異なる人材、すなわち1)グローバルな教育能力や視点を持つ教員と2)教育マインドを持つグローバル研究者を1つのプログラムの中で養成することである。3つの壁、文系と理系の壁、日本とASEANの壁、学校における児童・生徒と教師の間に、またそれぞれの中における暗黙の規律という、国の枠を超え共通して存在する学校文化の壁を乗り越える体験の中で、さまざまな状況に対する最適な「解」を見つけ前に進むグローバル人材が育まれる。また、学生が学際的な新しい視点を身につけ、分野横断的な潜在的能力を発揮することが期待される。
養成される教員は教育現場でグローバル化の担い手として後進の育成に携わる。一方、教育的視点を持った理系グローバル人材は、広く科学技術の発信を行い、文理双方の仲介者としての役割を果たすことが期待される。
千葉大学
世界で表彰!学生の環境マネジメント活動
千葉大学は環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格ISO14001を2005年に取得しました。「環境ISO学生委員会」は2003年に発足して以来、EMSの構築・運営を担当しています。千葉大学はEMSの取り組みを教育の一環と捉えており、「千葉大学方式」と名付けた仕組みを取り入れ、学生委員会を大学のEMS組織の1つに位置づけ、専用の科目を設置して活動に単位を与え、3年間取り組んだ学生には就活で使える資格を認定する制度を作りました。学生委員会には毎年200名ほどが所属し、学内外でSDGs達成に関する幅広い活動を展開しています。
学生たちは学内において、EMS研修講師、環境目的目標実施計画の原案作成、ISO内部監査員、外部審査対応、環境報告書作成などのEMS運用に必要な中核業務と、省エネ・ゴミ分別等の意識啓発活動、古本市や自転車リユース活動、緑化・堆肥化活動、附属学校での環境教育活動などを行っています。
学外においては、地域住民との連携活動、東日本大震災の被災地支援活動のほか、京葉銀行など複数の企業と協同プロジェクトを展開し、学外・地域社会への環境意識啓発、里山保全、海岸清掃・海藻再生など幅広く活動しています。
「千葉大学方式」の仕組みや学生委員会の長年に渡る活動とそれらの成果が評価され、最近5年間で環境や持続可能性に関する賞を国内で11、海外で4つ受賞しました。海外の大学からの視察の受け入れや、海外の会議に招聘されることもあり、千葉大学の学生主体のEMS活動の認知度は海外でも高まっています。近年は環境に関する国内・国際会議等に積極的に参加し、学生主体でSDGsに取り組む大学の普及に努めています。また、国内で環境活動に取り組む学生団体が加盟する「環境マネジメント全国学生協議会」を2019年に設立し、海外の学生ネットワークとの窓口を担うことになり、学生委員会はその事務局を務めています。
千葉大学
次世代才能育成プログラムでの高校段階からのグローバル人材養成
千葉大学の強みは、日本の玄関口成田国際空港がそばにあり海外の研究者および留学生を多数受け入れていることである。千葉大学のこの強みを単に大学の教育・研究に活かすのではなく、SGUとしてのリーダーシップを発揮し、近隣都県の高校生にグローバルな教育機会を提供している。具体的には、高校生と留学生が科学を通して交流するさまざまな場を創出している。
特に重要な活動として1)留学生の高校派遣による高校生向け科学授業の実施がある。この教育活動では留学生が派遣先高校で科学授業を実施したり、英語発表のアドバイスをしたりするものである。また、高校が用意した日本文化学習授業を通して英語でコミュニケーションを図る。さらに2)高校生と留学生による国際研究発表会も毎年度3回実施している。発表会では関東近郊の高校生とASEAN諸国の留学生が英語で課題研究をポスターと口頭の両方で発表する。この活動を通して、高校生が次世代グローバル人材として国際舞台で活躍していくためのグローバルコミュニケーション力・英語プレゼンテーション力を獲得する。実際に参加した高校生からは、英語での科学交流が励みになったことや英語学習への意欲が向上したという感想が寄せられている。このプログラムを受講し千葉大学に入学した学生からは、留学への意識のハードルが下がり、実際に留学していることが報告されており、高大接続でのグローバル人材育成プログラムとしての有効性をうかがわせる結果となっている。
したがって、これらの活動は日本の若者、留学生双方の早期からのグローバル体験をさらに促進するものであり、内向き化が進んでいるといわれている日本の若者の意識改革に繋げている。また、留学生に日本の教育環境及びシステムを伝える機会となっており、大学院進学を考えるチャンスともなっている。
法政大学
日越大学(ベトナム)と連携したSDGsフィールドスタディの実施
法政大学は、ベトナム(ハノイ)の日越大学(Vietnam Japan University)と共同で、SDGsフィールドスタディを実施した。
日越大学は日本政府とベトナム政府が共同で設立したベトナム国家大学のメンバー校で、サステイナビリティとリベラルアーツを基本理念としている。
2019年8月11日(日)から17日(土)まで、日越大学から11名、本学から6名の学生教職員が参加した。
本フィールドワークのメインは、ベトナム北中部のタインホア省(ハノイから車で約4時間)にあるLASUCO社での課題解決ワークである。LASUCO社は主力である製糖事業やハイテク農業のほか、近年、竹を使ったエコパークやベトナムの英雄を祭った寺院の建設など、地域のサステイナビリティを見据えた様々な事業を展開している。
両大学の学生は、LASUCO社の社員から、事業概要や直面する課題について説明を受けたあと、エコパークなどの施設を見学し現場を体感した。その後、2チームに分かれ、グループワークを行い、最後にLASUCO社の幹部の前で新規事業のプレゼンテーションを披露した。
法政大学
大学院公共政策研究科SDGs PULS履修証明プログラム
法政大学では、公共政策研究科において、「SDGs Plus履修証明プログラム」を2019年度より開講した。本プログラムは、SDGsの基礎から関連テーマを幅広く学び、実務に活かせるプログラムとなっている。17のゴールに向けた5つの科目群「1 BIOSPHERE」「2 SOCIETY」「3 ECONOMY」「4 GOVERNANCE」「5 総合領域」から構成され、公共政策研究科の講師陣による講義を受けることができる。また、修得した単位は、本学大学院修士課程に進学した場合には、最大10単位まで修士課程の修得単位として認定される。
法政大学
課題解決先進国日本からサステイナブル社会を構想するグローバル大学の創成~SDGsと大学教育~
本シンポジウムは、本学が2014年に採択されたスーパーグローバル大学創成事業の一環として、「SDGsと大学教育」という視点に軸を置き、国連、産業界、大学など、それぞれ異なる立場から大学教育に期待される点について議論を深めることを目的として実施されました。
開会に先立ち、田中総長より、本学におけるSDGsの考え方、取組み、そしてステイトメントの発信などについて紹介がありました。
第一部の各パネリストからの講演では、先ず根本かおる 国連広報センター所長より、SDGsを取り巻く世界の状況や「SDGsを自分事化して世界を変革する担い手に」というメッセージが語られました。次に宇野健司 (株)大和総研調査本部副部長からは「社会が求める大学教育とは」をテーマに、日本の大学生や海外の大学教育の比較などについての講演があり、古田元夫 日越大学学長からは、日越大学におけるベトナムでの持続可能な未来に向けたSDGsの取組みについて紹介がありました。そして弓削昭子 本学法学部国際政治学科教授からは、教育現場やゼミ活動における実践活動、SDGsの見える化・大学のSDGs化についての講演がありました。
第二部では、出演者によるパネルディスカッションが行われました。
コーディネーターの廣瀬常務理事による進行のもと、田中総長も交え、それぞれの視点から大学教育に求められるものや意義、課題などについて活発な意見交換が行われました。会場の参加者から寄せられた質問にも触れながら、今回のテーマを掘り下げた意義のあるパネルディスカッションとなりました。
最後は熊田常務理事からの挨拶があり、約120名の方々にご参加いただいたシンポジウムは閉会となりました。
明治大学
UNHCR難民高等教育プログラム
明治大学は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所と、UNHCRの活動を支える公式支援窓口である、特定非営利活動法人国連UNHCR協会が運営する「UNHCR難民高等教育プログラム」にパートナー校として参画し、日本に住む、日本国籍を持たない難民の方々が日本の大学で就学することができるよう、支援しています。本プログラムでは、就学するにあたって授業料や諸会費を本学が負担し、学士課程卒業までの期間において大学が定める額の学生援助手当を支給しています。現在本学を含め、11校がパートナー大学として、学士・修士課程で対象学生を受け入れています。
紛争・テロ・迫害が未だ止むことがない現在、世界には、7000万人を超える難民・国内避難民が存在すると言われています。このことは、同時に、多くの人々が勉学の機会を奪われていることを意味しており、現在の人類にとっての大きな課題であります。本プログラムに参加した学生は、大学内での同級生と切磋琢磨しながら多くのことを学びそれぞれが社会に旅立っています。日本の企業に勤める人、海外で仕事を見つける人、国内外で起業する人等、様々ですが、祖国と日本の架け橋になりたいという夢を実現している人も多くいます。
本学は、建学の精神「権利自由・独立自治」に則り、その解決と教育の機会を提供するため、本プログラムに参加しています。2011年度から、毎年2名を上限に、英語、または日本語での学位を取得できる学生を受け入れており,多くの卒業生を輩出しています。
明治大学
ダイバーシティ&インクルージョン
明治大学は、多様な価値観を受容し、共に学び共創する大学を目指しています。また、あらゆる多様性が受容・尊重され、個人がその個性と能力を存分に発揮できる共生社会の形成に貢献することは大学としての社会的責務でもあります。これらの状況を踏まえ、本学の「性に関する多様性」、「身体機能の多様性」、及び「文化的な多様性」に関わる主な関係部署が一堂に会し、相互の連携・協調を図る場として、「ダイバーシティ&インクルージョン・プラットフォーム協議会」が2018年11月に設置されました。
「ダイバーシティ&インクルージョン・プラットフォーム協議会」は、多様な学生の受け入れ・支援、及び多様性を受容・尊重できる価値観をもった人材の育成の観点から、ダイバーシティ&インクルージョンの普及(広報・啓発、年間活動報告等)並びに質保証(制度改革、相互評価等によるPDCAサイクル等)に関する連携・協調を図っています。
さらに、本学では協議会の発足に際し、多様な価値観を受容・尊重し、共に学び共創する大学を目指すことを学内外へ示すため「明治大学ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を学長名にて公表しています。
【明治大学ダイバーシティ&インクルージョン宣言】
1.明治大学は、ダイバーシティ&インクルージョンを共創的未来の源泉と考え、あらゆる多様性を受容し、尊重します。
2.明治大学は、性別、障がい、性的指向、性自認、国籍、人種等、多様な背景をもつ学生が、個々の能力を存分に発揮し、平等に教育研究その他の活動を営むことができるキャンパス整備を推進します。
3.明治大学は、建学の精神「権利自由・独立自治」に基づき、多様な背景をもつ学生に対する合理的配慮を推進します。
4.明治大学は、「個」の確立を基礎とした教育方針に基づき、一人ひとりの人権を尊重し、差別や偏見による人権侵害が生じることのない大学づくりを進めます。
明治大学
国連食糧農業機関(FAO)事務局次長による講演会
明治大学は、2018年1月29日(月)に国連食糧農業機関(FAO)と共催(協力:外務省)で、ダニエル・グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長講演会「持続可能な社会を支える農業 ~飢餓をゼロに・FAOと日本の役割~」を駿河台キャンパスで開催しました。
講演会は駿河台キャンパス・グローバルホールで催され、学内外から260人が来場。別会場での同時放映が行われるほどの盛況を見せました。開会に先立ち土屋恵一郎学長は「今回の講演を、皆さんが世界の課題へ挑戦する契機にしてほしい」と述べられ、続けて、外務省経済局経済安全保障課長の高橋美佐子氏がご挨拶されました。講演の中でグスタフソン氏は、国連の食料・農業分野での筆頭専門機関であるFAOの果たす役割と重要性を説いた上で、「日本は農業に関する豊かな経験を持ち、最先端をいく国の一つ」とし、「皆さんがどのような学問を学んでいても、すべての分野に関連がある。FAOに関わる仕事に携わることは大きなチャンスがあるだろう」と熱く語りかけました。
続いて行われたジョブセミナーでは、FAOパートナーシップ・南南協力部次長の池田ラーヘッド和美氏、元FAOエコノミストの経歴を持つ作山巧農学部教授、学生時代にFAOアジア太平洋地域事務所でのインターンを経験した農学部卒業生の齊藤慶子氏の3人が登壇。それぞれの経験を踏まえ、国際機関でのインターンの現状や、学生へのアドバイスについて講演されました。
岡山大学
SDGs大学経営改革:Whole institution’s approach
本学は槇野学長のリーダーシップの下、SDGs達成への貢献を推進し、教育研究、社会実装と国際化並びにガバナンス改革に取り組んできました。2019年度の本学は「SDGs大学経営元年」と位置付け、「岡山から世界に、新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」という「岡山大学ビジョン2.0」を掲げました。
SDGsへの貢献を大学経営の中核に置き、教育、研究・社会実装の大学機能の全てに反映させていくSDGs大学経営改革を行います。具体的には、①あるべき姿を共有して「バックキャスティング」し、②社会課題を取り込む「アウトサイドイン」、③課題解決のための多様なステークホルダーが共創・参画する「オープンイノベーション」、④具体的な課題解決方法を実装し、新たな価値を社会に提供する「ソーシャルインプレメンテーション」のプロセスをとり、大学の知の資源を活用して、社会からの信頼を得ていく営みと考えています。
このことは本年7月に、国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)に伴い開催されたサイドイベント「ESD for 2030」(ユネスコ・日本政府・ドイツ政府・ケニヤ政府共催)において、槇野学長が岡山大学のSDGs大学経営を、全学でSDGsを推進する全学的取組(Whole institution’s approach)として発表しました。
本学は2019年から2021年の3年間でSDGs大学経営を具現化し、2030年に描くSustainabilityとWell-beingを追究する研究大学としての「長期ビジョン」へと繋げていくことを目指しています。
岡山大学
「SDGs×グローバル人材」受入短期プログラム
本学は、米国国務省・教育文化局が実施する「米国国務省重要言語奨学金(CLS)プログラム」に採択されました。本プログラムは、国家安全保障や経済発展の観点から重要な役割を果たす、世界15⾔語の⼈材養成を目的として米連邦政府により創設され、CLS日本プログラムでは、8週間の短期留学プログラムを提供しています。毎年全米50州から約6000人を超える応募があり、その内約600人が選抜され、CLS日本プログラムでは26人を受け入れています。CLS奨学生は、学業・人物共に優秀な米国の大学生・大学院生で、全米トップレベルの様々な大学・カレッジから選抜されています。学生は、本学にて日本語と日本文化を学びながら、本学が提供する地域を活かした課外活動やホームステイ活動等にも参加します。全学レベルで進めているSDGsやESD(持続可能な開発のための教育)を通した人材育成拠点として、本プログラムを継続的に実施しながら、グローバル教育を一層推進していきます。
また、「ライデン大学日本語日本文化研修プログラム」も新たに開始し、2018年度に23人を受け入れました。本プログラムは、オランダ・ライデン大学人文学部との連携の下、日本語力の向上や日本文化の理解、学生交流を重視した3ヶ月の受入れプログラムです。受入留学生による「地域文化研究」発表会では、スライドを使用しながら、研修期間中に一番印象に残った岡山の文化、地域交流について発表しました。本学での研修成果を母国に持ち帰り、日蘭交流の更なる活性化に貢献してくれることを期待しています。
本学では、このようなSDGsの枠組みを活用した世界トップレベルの学生受入短期プログラムを実施し、質の良いSDGs学習の国際的な”学びの場”となることを目指しています。
岡山大学
SDGs達成に向けたESD教師教育国際拠点
持続可能な開発のための教育(ESD)は、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のためのアジェンダ2030」及び「持続可能な開発目標(SDGs)」の中で卓越した位置を占めています。国連総会の決議に述べられているように、ESDはSDGs達成への鍵です。そして、ESDの展開において最も重要な役割を果たすのは、学校をはじめとする教育機関の教育者・指導者、つまり教師です。ユネスコのESD推進施策である「ESDに関するグローバルアクションプログラム」(2015~2019年)や「ESD for 2030」(2020~2030年)では、ESDの教師教育は優先すべき行動分野となっています。
こうした状況のもとに、アジア唯一のESDのユネスコチェアである岡山大学は、日本学術振興会研究拠点形成事業(B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)(2017~2019年度)を実施し、アジア7ヵ国においてESD教師教育の中核的な研究交流拠点の確立、学術ネットワークの構築、及び次世代の研究者の育成を進めてきました。次にこの事業を発展させ、政府開発援助ユネスコ活動費補助金(2018~2019年度)を得て、アジア太平洋地域16ヵ国34機関と共同で「ESDの教師教育のアジア太平洋フレームワーク」を作成しました。現在、このフレームワークは同地域におけるESDの教師教育の標準であり、その研究教育の到達点となっています。
今後、岡山大学は、アジア太平洋の協力機関とともに蓄積してきたESDの教師教育の成果をもとに、欧州、アフリカ、北米、及び中南米の拠点機関と協力機関と共同し、「ESDの教師教育のグローバル・フレームワーク」を提案します。この開発と普及において、機関間の連携とともにユネスコ地域事務所との連携を図り、ESDの教師教育の国際研究交流拠点を全世界に構築します。これにより、2030年のSDGs達成に向けたESDの教師教育のベンチマークを確立することを目指しています。
<参考>
http://ceteesd.ed.okayama-u.ac.jp/
国際基督教大学
日本で唯一の「ロータリー平和センター」
国際基督教大学(以下、ICU)は、第二次世界大戦が終結してまもない不安定な社会情勢の中、国際主義とキリスト教精神に基づく教育を実現すべく、1949年に創設されました。それから60年以上にわたり、ICUは開かれた価値観と建設的な変化、また多文化主義を推進する先駆者として成長を遂げてまいりました。今日、ICUは国際教育のリーダー的存在として認知されているほか、国内ではその高い学術性を重視する姿勢でも知られています。さらにICUとロータリーのかかわりも深く、東ヶ崎潔ICU初代理事長は日本人初の国際ロータリー会長でもありました。
ICUは国際ロータリーとの協力により1999年に「ロータリー平和センター」を設置し、2002年より継続して毎年約10名の学生(ロータリー平和フェロー)を受け入れています。ロータリー平和フェローは、大学院博士前期課程に所属し、平和と紛争解決を中心とする国際問題の研究に従事し、修士の学位(平和研究修士)を取得します。現在、世界各地の7つの提携大学が同プログラムの受入校として指定されていますが、日本からはアジアで唯一、ICUが修士取得プログラムを提供しています。プログラム開始年に第1期フェローを受け入れてから、2019年の18期生まで実に154名のフェローがICUで学んできました。フェローの出身地は北南米、欧州、アフリカ、アジア等、様々、卒業後は世界各地の政府機関、国際機関、NGO等で活躍しています。そのほか、同プログラムでは原爆被災地である広島での研修・被爆者等の交流や、海外におけるインターシップを通じた幅広い体験を提供しているほか、フェローが主体となって、平和関連セミナーやイベントも開催しています。詳しくは、ICUロータリー平和センターウェブサイト(英語)をご覧ください。
ICUロータリー平和センターウェブサイト
ロータリー・フェロー修士論文タイトルリスト
国際基督教大学
自然とコミュニティーとのつながりから学ぶ持続可能なライフスタイルの模索
教養学部社会学メジャー山口富子教授は、「自然を理解する知性と自然を感じる情感を身に着ける場」としての学内農場(ICUファーム)が、リベラルアーツ教育においてどのような役割を果たす事ができるのかを明らかにすることを目的とする研究に取り組んでいます。
2016年に地元の農家の方々が山口教授の研究室に来訪、国際基督教大学(以下、ICU)キャンパス内で馬糞堆肥をつくるという提案があり、その後学内で1年越しの議論がなされました。その議論の中でICU学生や教職員が土に触れる事ができるような場をつくることになりました。
そして、地元三鷹市の若手農家の方々の協力を得てつくった畑と学内に設置されたコンポストステーションを使い、2018年から学生がキャンパス内で農作物づくりを始めました。学生による農作物づくりは、地産地消を推奨する活動などに広がりを見せ、その活動を通してICU学生のみならず、外国人留学生、地元の住民との絆が結ばれつつあります。ボトムアップで進められる本学のこの活動は、大学創立時にキャンパス内にかつて存在したICUファームの復刻版と捉える事ができます。また、欧米で観られるアグロエコロジー運動、あるいはエディブルスクールヤードといった草の根活動の潮流の中に位置づける事もできます。
その活動の一貫として、2019年1月には学生が主体となり三鷹市の農家との連携に関する情報交換を目的としたシンポジウム「三鷹市の農家さん×ICU:ICUが担う、都市農業を通じた地域づくり」を開催し、地元農家、ICU学生、ICU教職員が参加し、それぞれの活動やビジョンについて意見交換をしました。また、農と食を教育につなげるというテーマに造詣が深い国内外の専門家をキャンパスに招き、ICUファームを教育活動にどう埋め込んでゆくのかの勉強会も開催しました。そこではファームを中心に展開する子供の食育教育の試みを教育活動にどう組込むかや、さらにはファームを囲んで授業ができるスペースの設置の必要性などが話われました。このようなアクションリサーチを通し、リベラルアーツ教育における学内農場の役割について考察を深めてゆきます。
国際基督教大学
シリア人学生イニシアチブ奨学金
2011年に内戦が勃発して以来、シリアは世界最大の難民輩出国となり、2018年末までに670万人の難民を生み出しています。世界的な難民危機を背景に、国際基督教大学(以下、ICU)は日本国際基督教大学財団(JICUF)と難民支援協会(JAR)と提携し、日本国内の大学では革新的な本奨学金を設立しました。このイニシアチブは、現在トルコに居住するシリア人の若者に4年間ICUで学部教育を受ける機会を提供するもので、2018年9月に2名、2019年9月にも2名のシリア人学生を受け入れました。
受入れ学生には、学費の他、施設費等諸費用、寮費、生活費、トルコから日本への渡航費、医療保険などを支給します。また、難民支援協会の協力を得て、渡航前より日本語の語学研修やオリエンテーションを実施する他、学生ビザ取得のための法的支援、渡航後の学習指導、心理社会的サポート、就職支援など包括的な支援を行います。
写真は2018年にイスタンブールで開催した説明会の様子。
国際教養大学
全国の小中高校を対象とした英語教育支援
国際教養大学では、2004年の開学以来、すべての授業を英語で行うなど、「英語を英語で学ぶ」取組において独自のノウハウを有しています。そのノウハウを小中高等学校の教育現場等に還元できるよう取り組んでいます。
具体的には、中高校生を対象とした、「英語を英語で学ぶ」2泊3日の英語研修プログラム「イングリッシュビレッジ」を開講しています。本学の学生が、担当教員から事前にトレーニングを受け、講師として参加生徒の指導にあたります。生徒6人程度のグループを、日本人学生2名と留学生1名が担当し、密な指導をしていきます。この3日間は、英語コミュニケーションの連続です。さまざまな壁を参加者同士が共に乗り越えて最終プレゼンテーションを迎えます。秋田県内に限らず、県外の中高校生も参加しており、国際教養大学というグローバルな環境の中での英語学習を楽しんでいます。本学の学生スタッフは、本プログラムの運営を通じて、自立的かつ能動的に学修する姿勢を身に付けています。
また、秋田県内外の小中学校の英語教員を対象に、「ティーチャーズセミナー」を開催しています。セミナーでは、「英語を英語で教える」ことの意味やその手法、実践的教授法、クラスマネジメントなどについてのワークショップを実施し、参加した教員が自信をもって英語を指導できるようにサポートしています。県内外の教育委員会とも協働しながら本学がこれまで培ってきた英語教育の実践的方法論を活用し、初等・中等教育を担う現職教員の指導力向上に貢献しています。
このような「日本の英語教育改革」に関する取組が、地域の子どもや大人が英語コミュニケーションや異文化を学び、ひいてはグローバル・シチズンシップや文化多様性など持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得することにつながるものと捉えています。
国際教養大学
テーマ別ハウスにおける留学生との学び合い
国際教養大学では、キャンパス内の一部宿舎がテーマ別ハウス群として機能しています。
各テーマ別ハウスでは、日本人学生と短期留学生が生活を共にするだけでなく、担当教員の指導のもと、特定のテーマに基づいた活動を協働で企画し、学生主体の運営を行っています。2018年度秋学期と2019年度春学期には、Nihongo House、Japanese Nature & Culture House、Fitness Houseの3ハウスを開設しました。
Nihongo Houseでは、毎週異なるメンバーが「自分にできること」を軸に企画し披露する交流イベント「俺のシリーズ」を開催しています。「俺のタピオカ」、「俺のフランス語」など、自国の料理や芸術、あるいは母語等の紹介を通して、国籍や言語、文化や宗教の違いを、お互いが理解し尊重する機会となっています。Japan Nature & Culture House では地元食堂の店主を講師に招き、味噌の歴史について学びました。講義後半、参加学生は様々なトッピングを付けて自分だけの「味噌玉」を作り、最後にそれぞれの“作品“を評価し合いました。多様な「味噌玉」へと変化していく過程を通じ、留学生、日本人を問わず、自分とは異なる発想を尊重し認め合う場となりました。Fitness Houseでは、ヨガや少林寺拳法等の講師を招き、ハウス居住者に加えて学内の希望者も集めてセッションを開催しました。異なるバックグラウンドを持つ学生が一緒に汗を流しながら、心身共に健康的な生活を実践する努力を継続しています。
以上は各ハウス活動のほんの一部です。さらに、3ハウス合同のバストリップや成果報告会を行うなど、共に学ぶ喜びを体験しながら、ハウスの枠を超えた異文化共存や相互理解を確実に実現しています。また、テーマ別ハウスでの自律的な活動は、参加学生一人一人に、協働作業力やリーダーシップといったグローバル人材に必要な要素の獲得を可能にし、人間性の涵養に資するプログラムとなっています。
2019年秋学期には、English Education HouseとRussian Language & Culture Houseの2つが加わり、5つのハウスが活発な活動を展開中です。
国際教養大学
国際協働 PBL による地域問題への取組
国際教養大学では、2011年度から2015年度まで世界展開力強化事業により実施した日米協働課題解決型プロジェクト(Project Based Learning)を引き継ぎ、新たなASEAN諸国との国際協働PBL科目を開講しています。
本PBLでは、国内外における地域の課題を異なる社会、文化、宗教、生活、価値観を有する提携大学の学生と協働で取り組むことにより、多角的分析力、異文化理解力、コミュニケーション力、意見調整能力、協働作業力、そしてリーダーシップを強化することを目的としています。また、参加学生にはASEANという今後の我が国の外交・経済協力、文化交流において極めて重要な地域で現地の現状を把握しつつ、国際協力・支援のあるべき姿を現地学生と意見を交わしながら自分なりの「解」を探ることも求めています。
2018年度冬期プログラムでは、「グリーン・エコノミーへの多角的アプローチ(マレーシア)」、「日本とタイにおける持続可能な地域発展の研究(タイ)」、「第二次世界大戦:地上と海の記憶(フィリピン)」の3科目を前年度から継続開講しました。各国の特定地域や秋田県における地域課題と持続可能性を軸に、各科目で特化したテーマを設定し、そのテーマにまつわる課題とその解決について、提携大学の学生と現地調査やデータ分析をしながら議論を重ね、最終日には自分たちの考えや提案をまとめた成果発表会を行いました。
例えば、「日本とタイにおける持続可能な地域発展の研究」では、『生薬』と『伝統医療』をテーマに選びました。まず、秋田では生薬栽培による地域活性化の取組について行政機関や生薬栽培農家での聞き取り調査を実施し、タイでは生薬と伝統的医療のノウハウが豊富な東北部サコンナコン県にて実地調査を行い、両地域における持続可能性について比較を行いました。
PBLを通じて、地域のステークホルダーと連携協力しながら、実際に現地で抱えている課題について共に考え、解決するための知見や情報を共有し、地域問題解決への貢献に寄与する活動を続けています。
九州大学
世界初!未来を変えるデザイン募集!
九州大学大学院芸術工学研究院SDGsデザインユニットは、デザインの領域からSDGsに貢献する組織として2018年4月に設立され、社会プラットフォームとしての役割を担いながら、市民、NPO、産業界、海外の高等教育機関、国際機関等と連携し、世界の社会課題をデザインによって解決する様々な事業を行ってきました。
デザインに対する社会からの期待が近年高まっています。SDGsで目標とされている飢餓や貧困、食料の問題など、一見デザインとは無関係に見える課題に対しても、デザインで解決しようという取組が世界中で起こっています。デザインの役割は、「色や形による造形表現」の枠を超えて、私たちの社会が抱える課題を解決する有効な方法になっているのです。
2019年度、SDGsデザインユニットは、九州大学未来デザイン学センターとともに、社会課題を解決できる優秀なデザインやアイデアを表彰する世界初の国際デザイン賞、「SDGs Design International Awards 2019」を立ち上げました。
具体的には、今後の社会を変革できるデザインに関心のある世界中の学生を対象に、(1)自然災害による被害の対策につながるデザイン、(2)美しい海の豊かさを守るためのデザイン、(3)民族、国籍、年齢を超えて多様な人が共生するためのデザイン、という3つの募集テーマに沿うデザインを公募し、その中から優れたアイデアを表彰します。
この国際デザイン賞を立ち上げることにより、日本国内のみならず世界中の若い世代の人たちが斬新なデザインアイデアを考える機会を創り出し、応募されたアイデアを世界と分かち合いたいと考えています。そして、特に優秀な作品を表彰することで学生の萌芽的活動を支援し、また、SDGsの目標達成に貢献する活動を九州の地から世界規模で積極的に推進していきたいと考えています。さあ、あなたのデザインで、人類の新しい未来を創り出しましょう!
九州大学
タイと共にASEANの海洋プラスチック問題に挑む
海を漂流・漂着するプラスチックごみは、時間が経つにつれ劣化と破砕を重ねながら、次第にマイクロプラスチックと呼ばれる微細片となり、漂流の過程で誤食を介して海洋生物に取り込まれることが知られています。海洋プラスチック汚染は、深刻な海洋環境問題として近年、G7等の国際的枠組みでもクローズアップされており、2050年には、海上を浮遊するプラスチックが海洋中の魚の存在量を上回るとも予測されています。
九州大学応用力学研究所では、海岸漂着ごみの中でも大多数を占めるプラスチックごみに焦点を当て、海洋学的な見地より、輸送実態の解明や将来の浮遊量予測に取り組んできました。
2019年度、九州大学を代表機関に、中央大学、熊本大学、鹿児島大学、京都大学、東京海洋大学、東京農工大学、寒地土木研究所が参画して提案した「東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成」(対象国:タイ国)が、科学技術振興機構(JST)及び国際協力機構(JICA)が共同で実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)」に採択されました。
東南アジアから投棄される廃プラスチックは、世界の全投棄量の約30%を占めており、ASEAN地域における廃プラスチックの削減計画や、それを下支えする調査・研究体制の整備が求められています。海洋プラスチック研究で世界をリードする我が国と、経済成長に伴う深刻な都市ごみ問題を抱えるタイがタッグを組み、海洋プラスチック汚染に関する研究拠点をタイに構築し、海洋プラスチックごみ軽減のための行動計画をタイ政府に提案することを目指します。
また、タイにおける取り組みや社会実装を基にASEAN域内にロールモデルを波及させ、ASEAN地域での海洋プラスチックごみの削減につながるプロジェクトとなるよう、全力を尽くします。
九州大学
「新国富」指標で測る豊かさ
九州大学大学院工学研究院及び九州大学都市研究センターの馬奈木俊介主幹教授の研究グループは、「新国富」という新たな富の指標で国や地域の豊かさを計測し、その持続可能性を評価する研究を行っています。
「新国富」指標は、ノーベル経済学賞受賞者のケネス・アロー氏やブループラネット賞受賞者のケンブリッジ大学のパーサ・ダスグプタ名誉教授をはじめとする世界的な経済学者や都市工学者と国連がともに推進してきた「富の計測プロジェクト」の成果であり、2012年に国連持続可能な開発会議(リオ+20)で公表された「包括的な富に関する報告書2012」で初めて示されました。現在、馬奈木教授がこの国連報告書の代表です。
これは、従来の国民総生産(GDP)などでは測れない、インフラ、健康、教育、自然などといった次元が異なる価値を金銭換算することによって資本として計測し、我々とその先の世代が受け取る富を試算することによって、国や地域の真の豊かさについて統合的に評価するものです。
GDPだけでなく、環境、健康、教育といった面を成長させていくこと(包括的な成長)は国や地域の発展のみならず、SDGsの達成のための重要な要素です。たとえば、GDPが増えて経済が発展しても、同時に自然資源が減れば持続可能性は低下するからです。これまでは「包括的な成長」の計測方法や、SDGsを達成するために各国政府が実施する施策の有効性の評価方法が不明でした。「新国富」という指標の登場によって、国や地域の包括的な富を測り、SDGs達成に向けた施策の有効性について客観的に判断することが可能となりました。
今後、国、自治体や企業の将来設計や都市計画を進める上で、持続可能な社会づくりに役立つ情報として「新国富」指標が広く活用されることが期待されます。
金沢大学
金沢大学国際機構SDGsジオ・エコパーク研究センター
日本の山村の文化と自然環境の特色が色濃く残り、白山ユネスコエコパーク(*1) と白山手取川ジオパーク(*2)の両エリアが重なる石川県白山市白峰地区。本学は、この恵まれた地域資源を活用した、日本人学生や外国人留学生向けの独創的な地域体験型教育プログラムを開発し、地域と連携した学生教育を展開している。
2019年2月には、SDGsジオパーク、ユネスコエコパークに関する教育研究活動を推進するため、白山市およびNPO法人白山しらみね自然学校の支援を得て「金沢大学国際機構SDGsジオ・エコパーク研究センター」を開所した。本センターは「金沢大学白山白峰セミナーハウス」としても運用し、外国人留学生らが、白峰地区で合宿やホームステイをしながら地域の文化や課題、自治体と地域の方々の活動等に実際に触れ、SDGsとの関連性等について学びを深める場としている。国際機構ではこの拠点を活用した地域体験型プログラムの実施を通して、SDGsの視点を取り込んだ地域コミュニティによる留学生への学習支援体制を構築し、世界各国からの留学生を白峰地区に呼び込んで日本の伝統的な地域文化を発信する機会を充実させている。参加した留学生は、帰国後に日本の地域研究に取り組むなどしている。
2015年度に始動したこのプログラムは2017年度からロシアとの学生交流プログラムにも展開され、これまで世界各国から延べ200名以上の参加実績を持つ、外国人留学生に人気のプログラムとなっている。
*1 ユネスコが生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的として認定する「ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)」の一つ
*2 日本ジオパーク委員会が科学的に価値の高い地質・地形の保護と活用を目的として認定する「日本ジオパーク」の一つ
金沢大学
金沢大学五箇山セミナーハウス「助市」
金沢大学は2014年に富山県南砺市と包括連携協定を締結し、地域の活性化および課題解決に向けた取り組みを進めている。
2016年4月には、南砺市の協力を得て、世界文化遺産である五箇山相倉合掌造り集落内の家屋を改修し、金沢大学五箇山セミナーハウス「助市(すけち)」を開設した。
「助市」は、教育・研究・社会貢献活動の拠点として、集落における学生の農村体験、ボランティアおよびサークル活動、市民向けの講座、研究集会等に活用し、地域活性化の場としてだけではなく、学生や地域住民の学びの場、先端研究と地域課題をつなぐ場としての役割も果たしている。
こうした様々な取り組みの中、2018年度から、五箇山相倉集落の棚田景観の維持保全を目的とする事業に協力。集落住民の高齢化等による担い手不足の課題に対応すべく、多くの学生・留学生が5月の田植え、9月の稲刈りに参加。昔ながらの手作業による農作業を体験し、棚田保全活動の支援を行うとともに、地域住民との交流を進めている。また、体験を行った留学生が作業の様子等をSNSで紹介することで、世界遺産・五箇山の海外での認知度向上が図られるなど予期せぬ効果も生んでいる。
金沢大学
世界遺産から考える未来!フィリピン・イフガオ棚田での保全活動
本プログラムは、在マニラのJICA事務所、商社、日本大使館への訪問と、イフガオの棚田(ユネスコの世界文化遺産と国連食糧農業機関の世界農業遺産に認定)でのインターンシップ、本学協定校である国立イフガオ大学での学生交流から構成される。学生は2週間の多様な現地活動を通して、貧困問題、農業と環境の保全、伝統文化承継などの地域課題とともに、世界文化遺産と世界農業遺産の国際的視点を学ぶことにより、「グローカル」(Global + Local)人材を目指す。
先住民族であるイフガオ族により2000年にわたり構築された「コルディリェーラの棚田群」は、地域の文化・歴史的背景と「天国へ昇る階段」と称される景観が評価され、1995年に世界文化遺産、2011年には世界農業遺産に認定された。イフガオ族は、標高1000mを超す急峻な山腹の棚田でイネ伝統品種を栽培し、伝統文化・宗教をいまも継承している。
同時にイフガオ州はフィリピンの最貧州のひとつであり、様々な困難に直面している。近年、地域住民・自治体による活動や、国内外との連携が活発化しつつあり、農業生産・加工・販売、環境保全、伝統知識教育などに関与する多様な人材育成活動が推進されつつある。
参加学生は、現地住民と棚田を歩き、修復作業等への参加と討論を通じて、棚田が直面する地域課題を知り、その自然と文化を継承する次世代の人材養成について考える。また、棚田での野外作業だけでなく、イフガオ州政府・自治体、学校教員、ツアーガイド、ゲストハウス経営者など、地域活性化を担う多様な人々と共に現場活動に従事する。こうした活動を通して、学生はSDGsの複数のゴール間の関係性と複雑性に気づき、包括的な問題解決に向けた思考力を身につけることができる。また帰国後は、イフガオ同様に世界農業遺産に認定されている能登地域(すでにイフガオとの連携活動を実施中)において、持続可能な社会の実現を目指した活動に参加する予定である。
早稲田大学
共生社会実現のためのインクルーシブ教育
SDGsの第4目標は「すべての人々にインクルーシブかつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」です。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の黒田一雄教授は、この中の「インクルーシブ」な教育の在り方について研究しています。障害などの多様なニーズを持った人が通常の学校で共に学ぶ「インクルーシブ教育」という考え方が世界に広がったのは、1994年にユネスコが開催した「特別なニーズ教育世界会議」に遡ります。その後、2006年の「障害者権利条約」の発効や2015年のSDGsの採択によって、インクルーシブ教育は世界の教育政策の大きな方向性になろうとしています。
黒田教授がスリランカでこの研究を始めた当初、学校現場で特別支援教育を担当している先生方からは、インクルーシブ教育に対する大きな反発があったそうです。しかし、その後バンコクにあるユネスコアジア太平洋地域事務局と協力して、アジア各国でのフィールド調査や教育関係者との政策セミナーを繰り返すうちに、インクルーシブ教育こそが、共生社会を実現していくためにも、「すべての人に教育を(Education for All、EFA)」を実現するためにも、必要な教育の方向性であることに確信を持つようになりました。これを実証的に研究するために、JICA研究所と協力して、途上国においてはほとんど行われていなかった教師と保護者へのインクルーシブ教育に関する意識調査を、カンボジアとモンゴルで実施しました。これにより、途上国に特有なインクルーシブ教育をめぐる課題を探り、ユネスコや各国政府での議論や政策形成に貢献してきました。
現在、学校に通えていない学齢児童は約6000万人もいるとされ、その約3分の1が障害児であると言われています。こうした状況を改善し、多様な人たちが共に生きることのできる社会を教育によって構築するため、インクルーシブ教育に関するさらなる研究が期待されます。
早稲田大学
無電化地域における持続可能なコミュニティ
小野田弘士教授(早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科)は、ミャンマー、インドネシア等の無電化地域における太陽光、バイオマス等の再生可能エネルギー等を導入した自立・分散型のエネルギー・モビリティシステムの構築を目的とした国際共同研究を「東アジアにおけるバイオマスエネルギーの社会実装に関わる実現可能性調査」の一環として展開しています。この調査は、科学技術振興機構(JST)e-ASIA共同研究プログラムにおけるプロジェクトの一つです(研究期間:2017-2019年度)。
特に、ミャンマーは、東南アジアの中でも電化率が40%前後にとどまっている一方、大規模な石炭火力への反対運動等も起きており、地産地消型のエネルギーシステムへの期待が大きい国です。現在、環境・エネルギー研究科の研究チームでは、無電化地域のエネルギー需要を調査し、現地ニーズに立脚した持続可能な自立・分散型のエネルギー・モビリティシステムの提案・構築を試みています。途上国で実現したイノベーションが先進国にもたらされる現象である“リバース・イノベーション” につながるようなアウトプットが得られればと考えています。「自立・分散型エネルギーシステム」や「モビリティシステム」にはその可能性があります。
環境・エネルギー研究科では、「現場・現実・現物主義」や「文理融合」等に基づく、地域ニーズに立脚した多様な視点を有する人材育成を重視した研究・教育プログラムを展開しており、「国際環境リーダー育成プログラム」もその一環です。環境・エネルギー問題の解決には、多面的なアプローチが必要となってきます。国・地域間の異なる価値観・文化等を相互に理解し、さまざまなプロジェクトをコーディネートすることができる人材を輩出していくことを目標に掲げています。こうした取り組みの積み重ねが結果的にSDGsの実現に貢献するものと考えています。
早稲田大学
地域産学連携プロジェクトW-BRIDGE
早稲田大学環境総合研究センターW-BRIDGE(Waseda‐Bridgestone Initiative for Development of Global Environment)は、株式会社ブリヂストンと本学との連携のもと設置され、2008年設立時より「地域課題にもとづく地球環境問題の解決手法を研究・実践する地域産学連携プロジェクト」として約140件のSDGs指向型研究・活動プロジェクトを実施してきました。最大の特徴は、地域課題解決に取り組む民間団体と大学教員が連携して研究・活動に取り組むことが必須である点で、事務局では、有識者からなる委員会で厳正に選ばれた研究・活動プロジェクトを総合的にマネジメントしています。プロジェクトの成果は積極的に広報するほか、大学教育、大学が取り組む地域人材の育成にも活用され、自治体議員研修等で実施したSDGsの内容をはじめとする関連講習には、のべ3,000名以上が参加しています。
インドネシア南カリマンタン州で実施した森林回復を目的としたプロジェクト(研究・活動代表:平塚基志准教授(早稲田大学人間科学学術院))においては、株式会社ブリヂストンの現地法人の全面的な協力のもと、インドネシアや日本の各種機関、大学、農民組織が参画し、研究結果を生かしたゴムの植栽を中心とした森林回復と、土地を持たない貧困農民の民生向上なども含めた組織的活動を展開しました。この活動により、2019年には現地サイトがインドネシア政府森林回復コンテストコミュニテイ部門で1位を獲得しました。また、2015年からインドネシア大統領や担当大臣の度重なる視察の対象にもなっており、現金収入の向上を含めた地域の活性化に大きな貢献を果たしています。
福島浜通りの復興を支援する研究・活動(研究・活動代表:松岡俊二教授(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科))では、地域NPO等が連携し、地域に根ざしたリサーチセンターを設立するなど、地域住民との継続した連携に高い評価を受けています。
さらには、中央省庁の施策(グリーンスローモビリティー等)に取り入れられた低速電動バスの運用や、ブロックチェーン技術を利用したSDGsポイントシステムに係る研究・活動など、SDGs目標に合致した、研究と社会実装を組み合わせた多数のプロジェクトを展開しています。
豊橋技術科学大学
ASEAN・アフリカを中核とした工学教育のグローバル循環プログラム
ASEAN・アフリカ地域の高等教育を支援するため、学位未取得の現地教員を博士後期課程留学生として受け入れ、教員養成のための特別な教育プログラムを2018年度から実施しています。
2018年10月入学では、ルワンダ、タンザニア、インドネシアから8名の留学生が本プログラムを履修しており、本学での講義や、留学生と日本人の混合グループでアクティブラーニング形式の特別授業の実施、地元高等学校においてSDGsをテーマにしたアクティブラーニング形式の教育実習を実施するなど、学びを深めています。
(文部科学省2017年度「国費外国人留学生の優先配置を行う特別プログラム」採択プログラム)
参考URL:
https://www.academicimpact.jp/tut/uncategorized/2019/04/23094945/
https://www.tut.ac.jp/about/sdgs.html#anc04
http://ignite.tut.ac.jp/cir/english/foreigner/english/rotation
豊橋技術科学大学
開学以来継続する、途上国における工学系人材育成や国際交流の取り組み
本学は、1976年の開学以来積極的に国際交流活動を推進しています。2001年にはアジアを中心とした工学教育分野での国際協力活動が評価され、大学等の国際協力(工学分野)の拠点として「工学教育国際協力研究センター(ICCEED)」が本学に設置されました。
ICCEED(現:グローバル工学教育推進機構国際協力部門)はJICAと協力し、アジアを中心とした途上国の高等教育機関の工学教育の質の向上に協力するとともに、各国の産業振興を担う行政官、研究者、技術者を受入れ、研修を実施してきました。また、途上国における製造業を中心として産業振興に貢献しています。
これらの経験を生かし、さらなる展開として、本学独自の国際協力の実施や途上国の高等教育機関との交流協定締結等国際的な学術ネットワークの構築(パートナーシップの確立)を行っています。
参考URL: http://ignite.tut.ac.jp/icceed/
豊橋技術科学大学
「物理・化学情報をミクロンレベルで可視化するマルチモーダルセンシング技術の創出」構想の推進
本学を幹事機関として、産学官連携で提案した技術・システム革新シナリオ構想「物理・化学情報をミクロンレベルで可視化するマルチモーダルセンシング技術の創出」を推進します。
この構想では、本学が世界で初めて開発した「イオンイメージセンサ」の技術をベースとして、様々な物理現象や化学現象をリアルタイムで可視化する革新的な「マルチモーダルセンサ」の実現を目指します。そのためには、①ミクロンレベルの分解能を可能とするマイクロチップ設計製造技術、②複数の物理・化学現象を同時に観測するマルチモーダルセンシング技術、③様々な事象の変化をリアルタイムに検出する技術が必要です。これらの要素技術を民間企業とのコンソーシアム(マルチモーダルセンシング共創コンソーシアム)の活動を通して創出し、IoT、AI時代を支える“データ”の価値を飛躍的に高めるセンサの実現と、医療・バイオ・化学分野等の高度情報化に向けた基幹産業の創出・育成につなげます。
参考URL: https://opera.tut.ac.jp/
会津大学
最先端の環境でモノづくり体験を!
会津大学では、2015年度から毎年「シリコンバレーインターンシッププログラム」を実施しています。
「シリコンバレーインターンシッププログラム」は、最先端の技術力が集結する米国・シリコンバレーにて、現地の技術者と交流しながらものづくりを行う実習型のプログラムです。
本プログラムは今年度から2種類のコースを実施しています。
従来型の【コースA】では、2週間シリコンバレーにあるコワーキングスペース“Hacker Dojo”にて、現地のエンジニアとの議論を通じてシステムを開発したり、現地の会社を訪問したりしながら世界最先端の技術を学びます。
また今年度新設された【コースB】では、1.5か月間シリコンバレーの現地企業にて、インターンシップを行っています。
どちらも開発活動を通してシリコンバレーの企業文化を体験することで、学生達のその後のモノづくりに活かせるグローバルな視点を養うことを狙いとしています。
今年はコースAに7名、コースBに2名の学生が参加し、ともにAIをテーマとする課題に挑みました。コースAではビジネスにつながるアイディアと高く評価された作品もありました。また、帰国後にも学生らは国内のコンテストやハッカソン等に積極的に参加する姿勢が見られます。
この活動を通して培った課題解決力や獲得した成功体験は、参加者自身が今後主体的に社会活動へ参画する原動力となるだけでなく、学内外の他の学生に対しても、彼らの体験を共有する成果発表会や交流を通じて「自分にも英語と技術と基に行動を起こすことで、世界レベルの活躍をすることができる」ということを伝えることができます。
「だれもが英語力と技術を武器に具体的に行動を起こせば世界のエンジニアと伍することができる」ということを示すため、今後同プログラムに参加する学生が現地の技術コンテストやハッカソンに挑戦し入賞することを目指していきます。
会津大学
技術の普及×可能性の追求をミャンマーで
会津大学では、2014年よりミャンマーのヤンゴン大学(University of Yangon)、ヤンゴン・コンピューター大学(University Computer Studies Yangon)との間で、日本のIoTデバイスや開発手法を用いて共同研究・開発の取り組みを行っています。
ミャンマーの工科系・IT系の大学では、いずれも理論を学ぶ座学中心であるのが現状で、今後実践的な教育の比率を高めていこうとしています。
本学とコンピュータ理工学に関する教育の連携をすることで、ミャンマーのIT人材育成や技術活性化に貢献しながら、新たな可能性を探っていくことがこのプロジェクトの狙いです。特に,「初めての取り組み」だからこそ前例にとらわれない新たな可能性を発見できるという点に着目しています。
近年では、会津大学の研究者が年に1~2回現地を訪れており、研究事例の紹介や、ロボティクス分野・IoT分野の研究、教材開発活動をしています。
また、優秀な学生の会津大学「ICTグローバルプログラム全英語コース」への編入、及び大学院への進学を通じたミャンマーの技術者育成実現に向けて、更なる信頼関係醸成のための活動を続けています。これらの結果、教育交流のあった教員の指導学生が日本にやってくる機会も増えてきており、広く日本国内の大学の国際化にも貢献できるプロジェクトとして成長してきました。
今後は、大学間協定等を通じてすでに交流のある大学とのつながりをさらに強化していき、将来的にミャンマーからの留学生を会津大学含めた日本の大学へ継続的に迎えられるような環境を整えていこうと考えています。
また教育面では共同開発した教材を用いて、教員のみならず日本とミャンマーの学生同士が共に学び合い、開発活動に取り組む機会を提供していくことで、学生間の信頼関係も深めることができ、お互いを高めあえる機会を提供していきます。さらにはICT分野の起業家を輩出することを目指しながら、今後も着実に技術発展に貢献していきます。
会津大学
中国大連の学生と共に“創業精神”を学ぶ
「大連事業開発プロジェクト」は、会津大学の学生が、中国・大連の私立総合大学である大連東軟信息学院に赴き、現地の学生と共同でシステムの企画立案と開発を行うプロジェクトです。
会津大学では開学以来、学生によるICT企業の創業を奨励しており、これまでに卒業生等が20社以上起業しています。
本学では本プロジェクトの中で、グローバルな視点でビジネスや社会問題解決をしようとする学生を育成するため、毎年数十社の学生が起業をしている大連東軟信息学院のSOVO(Students Office & Venture Office)に本学の拠点を設置、学生が経営戦略などの基礎知識を学びながら、AIに関するビジネスを意識した開発活動を行うプログラムを展開しています。近年ICT企業の発展が目覚ましい中国で、学生が自らビジネスの現場を見聞きし体験することで、異なるバックグラウンドを持ったメンバーと共働できる力を持った将来の起業家を育てることがこのプロジェクトの狙いです。
約4週間の派遣期間中、本学の学生と大連東軟信息学院の学生によるいくつかの混合チームを作り、仮想の企業を創業、開発から経営までゼロから作り上げていきます。この体験によって、学生は創業に求められる知識や実践力を養うことができます。またクロスカルチャイベントとして街にくり出し、取材や視察を進めることで、中国の商慣習や文化などを学びます。
昨年度は、シェアカーを用いたライドシェアリングサービスについての企画と要件仕様を、日中の学生が協力し合って作りました。中国では既にタクシーで複数が乗り合わせることなどが行われており、そのような経験から実際に想定される課題等も含めて話し合い、そのシステムに必要な構成要素の概要設計を分析しました。
立教大学
陸前高田グローバルキャンパスを軸とした「コミュニティ」「ローカル」「グローバル」を柱とするプログラムの展開
立教大学は、2017年4月に国立大学法人岩手大学と共同で、陸前高田市民と国内外の学生・研究者等の交流拠点として、岩手県陸前高田市に「陸前高田グローバルキャンパス」を開設した。
本学では、グローバルキャンパスの開設以前の2013年から、「震災復興」をテーマに正課科目として「陸前高田プロジェクト」を展開している。本プログラムは、「ノーマライゼーション」という言葉のいらない新しい社会の実現を目指す陸前高田市をフィールドに、本学とスタンフォード大学(米国)の学生が参加する、課題基盤学習型プログラムである。現在では香港大学、シンガポール国立大学の学生も参加するなど海外大学との連携を拡大し、本学学生が海外の優秀な学生と共に学ぶ機会を創出するとともに、震災復興に向けた取組みについて海外の若い世代に伝える機会となっている。
さらに、陸前高田市の「SDGs未来都市」選定に先駆け、同市において「新しいモノサシSDGsで世界、地域を考えよう」と題し、SDGs啓発の第一人者でキャスターの国谷裕子氏を講師として招へいし、シンポジウムを開催した(2019年2月)。同シンポジウムでは、環境汚染や地球温暖化は陸前高田にも無関係ではないことに触れ、自分たちに何が出来るかを考えることの重要性について理解を深めた。この他、「再生可能なクリーンエネルギー」をテーマに、社会貢献活動に力を入れる企業と共催し、『LED 「ペットボタル ® 」でイルミネーションを作ろう!』を開催するなど、地域と連携し様々な催しを開催している。
さらに、2020年度から、「住み続けられる街づくりとは何か」をテーマにサービスラーニング科目の展開を計画している。この科目では、陸前高田市でのフィールド活動を通じて、復興支援・防災減災の教訓を実践的に学ぶとともに、国際機関の視察やそこで働く職員等からの講義を通じて地球規模の社会的課題に対する国際機関の役割等を実践的に学ぶことを計画している。
熊本大学
国際先端科学技術研究機構(IROAST)
熊本大学は、自然科学分野の国際的な研究力の向上を目的として、2016年4月に国際先端科学技術研究機構(International Research Organization for Advanced Science and Technology:IROAST)を設置しました。本機構は、自然科学の先導的分野における国際共同研究の推進と優れた若手研究人材の育成等を目標に掲げ多様な取組を実施しています。機構内では英語が公用語化されており、欧米地区32名、アジア・オセアニア地区11名等の海外研究者が本機構において国際共同研究に参画しています。
2018年には、人的資源の整備や国際共同研究ネットワークの創生とその展開の加速を目的としたResearch Unitの編成を開始しました。現在は、本機構所属の若手テニュアトラック教員、国際共同研究員、並びに卓越教授として雇用した世界一線級の研究者、本機構客員教授及びその受入研究者を核とした世界をリードする12のUnit(Units of World-leading Researchers)と、若手研究者主体の7つのUnit(Units of Young Researchers)が編成されています。これらのResearch Unitは、次世代材料開発(酸化グラフェン、Mg)、気候変動など地球規模での環境分析、地熱資源開発や二酸化炭素の深度地下貯蔵、難病指定の脳疾患に対する治療戦略といった多様な研究課題のもと研究を行っており、持続可能な開発目標の達成に貢献しています。
HP:http://iroast.kumamoto-u.ac.jp/
熊本大学
有用植物×創薬システムインテグレーション事業
平成29年8月、熊本大学及び熊本県は、文部科学省「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム事業」に採択されました。プログラム事業名を、「有用植物×創薬システムインテグレーション拠点推進事業(通称:UpRod事業)」と題し、植物や海洋生物、微生物などの天然資源から、革新的な医薬品や健康社会づくりに役立つ産物を生み出すことに取り組んでいます。
UpRod事業は、熊本大学に蓄積された「有用植物ライブラリー」を基に、①熊本大学と地域企業が連携し、高品質有用植物の安定供給を実現する栽培システムを構築し、②ライブラリー内の有用植物の抽出・分析・評価を一貫して行うことで、革新的医薬品等の創出に繋がる評価システムラインを構築する事業です。アフリカ・アジア諸国など主に新興国における天然資源の有益性に科学的エビデンスを与え、栽培方法や成分抽出技術を確立、創薬にもつなげることで世界の幸せに貢献することを目指しています。これまでに、アフリカ諸国の大学(ハルツーム大学、キンシャサ大学、アインシャムス大学、フューチャー大学など)とMoUを締結し、人材交流を含めた、親密なネットワークを形成しています。また、2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)のサイドイベントに国立大学として出展しました。さらに、同年11月には熊本大学薬学部にて、「TICAD7 ポストフォーラム in 熊本」を開催し、アフリカにおける健康医療の現状と課題について、産官学で議論し、ステートメントを纏めています。現在、熊本大学の産業イノベーションラボを拠点に、本事業を世界に発信し、人々の健康医療に貢献する創薬事業を展開しています。
HP:https://uprod-kumamoto.org/index.php
熊本大学
世界の課題解決を学ぶ海外インターンシップ
熊本大学 博士課程教育リーディングプログラム グローカルな健康生命科学パイオニア養成プログラムHIGOは、医学・薬学などを基盤とする「健康生命科学」の知識を持ちつつ、九州・アジアの社会的ニーズを理解し、地域と世界を結びつけて、グローカル(グローバル+ローカル)に様々な課題を解決できる人材の育成を目指し、独自のカリキュラムを提供しています。その1つが海外インターンシップであり、海外の行政機関、企業、大学等における就業体験や訓練を通じて、課題発見・解決能力に加え、国際的に通用するコミュニケーション能力の修得を目指します。
2018年11月に行われたインターンシップには、学生6名、教員2名が参加し、インドのハイデラバード市を訪問しました。Telangana Tribal Welfare Residential Educational Institutions Societyにて、カースト意識や差別が残る地方の現状やNGOによる教育支援活動について説明を受けた後、テランガナ州の農村部を訪れ、女性や子どもに対する教育現場を見学しました。その他、Jawaharlal Nehru Technological Universityの薬学分野などの研究室、インドトップクラスの工科大学である Indian Institute of Technology Hyderabad (IIT-H)のバイオ医学分野の研究室も訪問。学生たちは自らの研究成果を発表し、訪問先の学生や教員と交流しました。また、IIT-Hに駐在するJICA専門家とも面会し、JICAによるインドの人的資源開発などについて議論しました。学生たちは、水俣病や世界の水銀汚染問題の知見を基に、IIT-Hの環境技術を紹介するJICAのビデオ作成に協力し、環境保護の重要性を訴えました。
HP: https://higoprogram.jp/internship/
上智大学
上智大学国連Weeks:世界と私たちの未来を考える
上智大学は、「国連の活動を通じて、世界と私たちの未来について一緒に考える」をコンセプトに、2014年から年2回(6月及び10月:各約2週間)、「上智大学国連Weeks」を開催しています。2015年のSDGs採択以降はSDGsの目標を多角的に取り上げ、国連、国連各専門機関や国際協力機関の活動や啓発するテーマに焦点を当てています。教育連携協定を有する多くの国連機関や企業、団体等との協力の下、他には見られない独自の企画であり、講演会やシンポジウム等の各種イベントを通して多くの人々に持続可能な国際社会の実現について考え、連携する機会を提供するとともに、SDGsの意義と役割を広く社会に発信しています。最近では大学生以外に高校生、一般の方の参加も多く、ここ数年は、毎回約1,000人以上の来場があります。
2019年10月実施のプログラムでは、SDGs達成に向けた若者のコミットメントについて議論するスペシャルトークセッションのほか、教皇フランシスコが取り組む平和構築活動、アジア太平洋地域における持続可能な開発への課題と展望、大量生産・大量消費解決に向けたエシカル消費などをテーマにした各シンポジウム、ノーベル平和賞を受賞した医師の国際的な社会貢献活動を記録した映画上映会などを実施しました。また、国連や国際機関の職員を招いたキャリアセミナーなど、大学生や高校生が将来の進路の選択に資する企画も毎回行われています。
いずれの企画も、各界の第一線で活躍中の研究者や実務担当者が登壇し、最新の知見や動向を高校生や大学生にも理解できるよう解説し、ともに議論を展開することを大切にしています。
上智大学
上智大学大学院地球環境学研究科:地球環境問題に取組むグローバル人材を育成
世界的な環境問題に対処するためには、SDGs(国連持続可能な発展目標)の実現に向けて、環境教育やESD(持続可能のための教育)を一層向上させ、人間活動を変革し、健全で恵み豊かな環境を守りつつ、新たな経済発展を実現できる社会、持続可能な社会をつくり上げる必要があります。
上智大学大学院地球環境学研究科は、人類が直面している未曾有の課題である環境問題の解決に資するために2005年4月に創設されました。本研究科では、地球環境問題や環境学の専門家として、環境関連の社会科学と自然科学についての幅広い専門知識、様々な理論、実践を体得し、持続可能な社会の実現に貢献できる人材の養成を目指しています。教員は法学、経済学、政策学、経営学、社会学、理・工学などの多様な分野における国内外の専門家から構成されており、これに非常勤講師として現在の日本の環境研究をリードする第一線の研究者が加わっています。文系・理系の枠を超えた幅広い分野から環境問題にアプローチするため、カリキュラムは既存の学問体系を横串で刺した学際的な科目で構成されています。また、日本語コースに加えて、英語だけで必要単位取得と論文執筆が可能な「国際環境コース」が併設されており、アジア・アフリカ諸国、南米、欧米諸国など世界各国の留学生が数多く学んでいます。これらの学生との交流を図る機会も多く、グローバルな視点と対応能力を身に付けるのに相応しい環境があります。さらに、理論だけでなく、環境問題をフィールドで学ぶための研修旅行や、その他の現場訪問の機会を豊富に設けており、理論だけでなく現場の生きた知識や経験を通じて学ぶことを重視しています。
上智大学
緊急人道支援講座
上智大学国際協力人材育成センターは、本学が教育精神とする「他者のために、他者とともに(Men and Women for Others, with Others)」の志を抱いて国際協力の分野で活躍しうる次世代の人材育成を目的として、2015年7月に設立されました。本学では、先駆的なグローバル教養教育、優れた外国語教育とともに、確かな見識を身につける専門教育によって、グローバル人材の育成に取組んでいますが、センターは大学の教育と深くリンクしながら、多層的、多面的な国際協力の構造や機能を紹介し、将来のキャリア形成に向けた実践的な支援をしています。
今般、センターの開講講座として、「緊急人道支援講座」が開設されました。今日、人々の生命・生活が脅かされる人道的危機(紛争、自然災害、感染症等)は世界中で起きており、その対応が急がれています。本講座は、今後益々そのニーズが増えると見込まれる緊急人道支援の基礎的知識とスキルを身に付け、その後のキャリアに生かしてもらうことを目的としています。春学期講座では、緊急人道支援の範囲や原則(中立性や公平性など)、支援の仕組みや最新の動向、特定課題の理解を目指します。秋学期講座では、緊急下の人道支援対応のためのマネジメントやアドボカシー、メディア対応、ファンドレイジング、交渉術、安全管理といった緊急人道支援のスキルを身に付けます。各回は、講義と演習を組み合わせ、効果的な学びを得られるように工夫しています。講師陣は、国際機関、NGO、JICA、赤十字、民間企業等で緊急人道支援の最前線で経験を積んだ方々が担当します。
夜間開講のため、社会人が仕事を続けながら、講座を受講することが可能です。一定の条件を満たして講座を修了した受講生には修了証が授与されます。本講座は、これから緊急人道支援に関わりたいと考えている、もしくは既に関わっているが体系的に知識やスキルを身に付けたいと考えている人などが対象です。
筑波大学
つくば3Eフォーラム
2007年に結成されたつくば3Eフォーラムは、2030年までにつくば市のCO2排出量を50%削減する目標を掲げ、筑波大学を中心につくば市内の研究機関、つくば市及び茨城県が連携して活動しています。
省エネルギー・脱炭素社会を実現するためには、環境(Environment)、エネルギー(Energy)、経済(Economy)の三要素のバランスが重要で、どれか一つが欠けても目標は達成できません。そこで、3Eフォーラム内に現在3つのタスクフォースを設けて活動しています。
水素エネルギーの実装を提案していく「次世代エネルギーシステムタスクフォース」、藻類を使った燃料生産をはじめ、水耕栽培など農業との関わりや環境保全策を提案していく「バイオマスタスクフォース」、そして公共交通機関の利用などの推進を提案していく「都市構造・交通システムタスクフォース」です。これらが自治体や企業とも連携しながら、つくば市のCO2排出削減に取り組んでいます。
また、つくば3Eフォーラムは、一般市民に向けて「つくば3Eフォーラム会議」を毎年1月に開催しています。2019年に開催の第12回フォーラム会議は、メインテーマが「SDGsの中の3E」でした。SDGsへの取り組みは、つくば3Eフォーラムの3つの支柱である「環境」、「エネルギー」、「経済」を内包しています。したがって、つくば3Eフォーラムの活動を推進することはSDGs実現のための重要な一部分を担っていると考えています。
「つくば3Eフォーラム」ウェブサイト(https://eeeforum.sec.tsukuba.ac.jp/)
筑波大学
スポーツを通じたSDGsへの取り組み
筑波大学は、スポーツを通じて途上国の社会への貢献を促進するために「スポーツ国際開発学共同専攻」(修士課程)を開設しました。
[背景と概要]
1990年代に積み上げられた活動を通じて、スポーツは国際社会において社会開発に向けた重要なテーマとして認識されるようになりました。現在では、教育、ジェンダー、貧困、健康、平和構築など社会課題の解決に、スポーツが活用され、より高度な知識と能力を備えた人材が必要とされています。
「スポーツ国際開発学共同専攻」は、筑波大学、鹿屋体育大学、そして日本スポーツ振興センター(JSC)の三機関が共同して開設。国内外で生じている社会課題の解決にスポーツを通して貢献できる人材の育成を目指す修士課程です。スポーツ・体育・健康に関する理論的・実践的な知識を英語で学び、国際平和と友好、豊かな地域社会の創造に寄与できる人材を養成します。
[教育目標:以下の能力や特質をプログラムで養成します]
・国際情勢と政策に関する知識、他者や社会への自立・成長、変化・発展、目標達成に対する意志、価値観、そして使命感
・グローバルな俯瞰力と地域社会で生活する人々へのまなざしをもって、実践現場でリーダーシップを発揮できる実務家としての突破力
・世界平和と友好を構築し、人々の生活を豊かにするスポーツ・体育・健康に対する深い理解力
・国際社会に貢献できるコミュニケーション能力、マネジメント実践能力、語学力
[直近のSDGs関連活動]
・五輪メダリストに聞く!スポーツと国際開発、SDGsへの取り組み in Tsukuba Global Science Week(2018/09/20)
・第6回「スポーツ国際開発」国際シンポジウム "持続可能な開発とスポーツ ~ジェンダー・障害者・環境の視点ら" (2018/12/15)
・開発と平和のためのスポーツ国際デー SDGsワークショップ 「スポーツを通じたエコ社会を考えよう」(2019/04/05)
・第7回 スポーツ国際開発」国際シンポジウム “スポーツから目指す”脱”消費社会 in 筑波会議2019”(2019/10/02)
筑波大学
地球規模で俯瞰する力、課題に自ら取り組む力
持続可能な地球環境と、多様性を認め合う共生社会の実現のためには、地球をワン・プラネットとして捉え、人類が国境を越えて俯瞰的に世界を見つめる視野が必要です。そのために今までの大学教育の常識を破って導入したのが、新たな人材育成のプログラム「地球規模課題学位プログラム(学士)」です。地球規模課題とは<地球システム>と<人類社会>の関係が引き起こす課題群です。この課題群に取り組むために、21世紀の大学生は、地球を作り出した宇宙システムの概要(138億年史)、月とともに形成される地球の歴史(46億年史)、生命誕生からサピエンスまでの生物進化(38億年史)、そしてホモ・サピエンスの歴史(7万年前から今日までの人類史)を俯瞰できる地球人としての教養が求められます。また、地球のガバナンスを行ってきた人類の取り組みの歴史を知り、国際社会、国家、市民社会、地域社会、そして私たち一人一人のコミットメントについて決断できることが求められます。ストックホルム人間環境会議(1972年)からSDGsまで国際的コミットメントの基礎を身につけ、さらに専門性の高い知識を追究して、SDGsの課題を包括的に関係づけられるようにしていきます。卒業までに一人一人が、自分たちが生きやすい社会にするためのプランとプロジェクトを提案するために、演習と実習を行っていきます。
筑波大学 地球規模課題学位プログラム(学士)ウェブサイト
東京大学
戦略的パートナーシップ大学プロジェクト
どの大学とも一律の関係を結ぶのではなく、双方の大学の強みを活かし、各部局・各分野における研究交流を基盤とした教育交流を東京大学として束ねることにより、本学と通常の大学間学術交流協定を超える総合的・互恵的で特別な関係性をもつ海外の大学を「戦略的パートナーシップ大学」と呼びます。
本パートナーシップ大学との多様な取組を活用することで、本学の国際的な教育研究の交流を推進するだけでなく、多様で分野横断的な交流を推進し、教職員・学生(大学院学生と学部生)の流動性を高めます。これらの効果的かつ総合的な推進を通じて、本学の卓越した教育研究活動をさらに国際的に展開し、本学の国際的なプレゼンスを強化します。
本プロジェクトは、平成26~28年度までの戦略的パートナーシップ構築プロジェクト等を通じて各部局ですでに実施されていた取組を発展させ、部局間協力を含むネットワークをグローバルキャンパス推進本部がサポートしながら束ねることにより、分野横断的な研究及び教育の交流を推進し、気候変動やサステイナビリティといった複合領域にまたがる問題についても取り組みます。
また、これまで進めてきた多様で分野横断的な活動状況と今後の計画について発表の機会を設け、グッドプラクティスの共有を図ることや共通のテーマについて議論を深めることを目的として、「戦略的パートナーシップシンポジウム」を2015 年から毎年開催しています。
東京大学
東大特別教育プログラムGLP-GEfIL
GLP-GEfILは、東京大学学部後期課程学生を対象とした、約2年間の選抜制の特別教育プログラム。SDG’sを中心に授業はすべて英語で行い、地球規模の課題についての研究プロジェクトに取り組む。プログラムの一環で、履修生は履修期間中に2度の短期海外留学に参加し、現場での実践力を養う。渡航にあたり履修生は、本プログラムの趣旨にご賛同いただいている企業からの寄付金を原資に、給付型の奨学金を受けることができる。すなわち、GLP-GEfILは産学が連携して将来の日本および世界のリーダーの育成を目指しているプログラムであり、2019年までで既に約100名の修了生が誕生している。
プログラムの核をなす授業は、課題解決型の実践研究である。PHASE1(2年次12月~3年次5月)ではSDG’s全体の課題に、PHASE2(3年次9月~4年次5月)では履修生の希望に応じてテーマ*を絞り、より深い課題解決に向けての調査・研究を行っていく。
(*2019年度におけるテーマは、ピース・ビルディング、グローバル・ヘルス、グローバル・エコノミー&マネジメント、グローバル・エデュケーション、サステイナビリティ、グローバル・シティの6領域)
PHASE1、PHASE2とも、最終授業では履修生の英語によるプレゼンテーションで学修成果を発表する。成果発表を聞いていただいた寄付企業等外部の方々からは、2年間の教育効果に対して高い評価を得ている。今後は、GLP-GEfILの修了生たちの社会での活躍実績が期待される。
北海道大学
新渡戸カレッジによるSDGs教育
HUCI構想とNITOBE教育システム
北海道大学は、「世界の課題解決に貢献する北海道大学へ」というビジョンを掲げ、建学以来の基本理念と長期目標を踏まえた大学改革の設計図となる「北海道大学創基150年(2026年)に向けた近未来戦略(近未来戦略150)」を2014年に策定しました。「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ(HUCI)」構想は、「近未来戦略150」の中核となる実行計画のひとつであり、「世界の課題解決に貢献する人材」の育成を目指すとともに、国際通用性の向上と国際競争力の強化を推進しています。HUCI構想の主たる取組の一つである「NITOBE教育システム」による先進的教育では次のような取り組みを実施しました。
新渡戸カレッジ
リーダーシップを発揮して世界に貢献できるグローバル人材を育成するため、学部生と大学院生(修士課程及び専門職学位課程)を対象とした「新渡戸カレッジ」を、6年一貫の特別教育プログラムとして提供しています。本プログラムの運営には、国際経験豊富な本学同窓生(新渡戸カレッジフェロー)が深く関わり、現役生の成長を支えています。(2026年)に向けた近未来戦略(近未来戦略150)」を2014年に策定しました。「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ(HUCI)」構想は、「近未来戦略150」の中核となる実行計画のひとつであり、「世界の課題解決に貢献する人材」の育成を目指すとともに、国際通用性の向上と国際競争力の強化を推進しています。HUCI構想の主たる取組の一つである「NITOBE教育システム」による先進的教育では次のような取り組みを実施しました。
(学部教育コース)
2019年10月、新渡戸カレッジでは「ビジネスによるSDGsの取り組みと、みなさんに引き継ぎたい世界」をテーマに田瀬和夫氏(SDGパートナーズ有限会社)による特別講演会を開催しました。カレッジ生は特別講演会をSDGsの導入教育として学び、また8つのフェローゼミに分かれて現場視察等で発見した諸課題の解決策についてグループワークを行い検討しました。ゼミのテーマには、「2045年のSDGsに向けて ~平和ゲームを考える~」、「北海道における持続的な健康促進、未来の生き方を考える」あるいは「スタートアップに取り組んでみよう―自分の未来を拓くことが持続的社会につながる」などがあり、12月の全体発表会においてその成果を披露しました。
また、カレッジ上級生を対象とした「アドバンストゼミ」では、ゲームを通じて市民にSDGsの理解を広める活動を実践しました。イベントは同年11月に札幌駅前通地下歩行空間チカホで実施し、家族連れや学生約100名が食糧不足や気候変動といった地球の抱える問題について楽しく学びました。(2026年)に向けた近未来戦略(近未来戦略150)」を2014年に策定しました。「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ(HUCI)」構想は、「近未来戦略150」の中核となる実行計画のひとつであり、「世界の課題解決に貢献する人材」の育成を目指すとともに、国際通用性の向上と国際競争力の強化を推進しています。HUCI構想の主たる取組の一つである「NITOBE教育システム」による先進的教育では次のような取り組みを実施しました。
(大学院教育コース)
全て英語での授業となる大学院教育コースでは、”Problem Solving” & “Problem Finding”のターゲットとしてSDGsが取り上げられ、日本人学生と留学生とがチームでローカルとグローバルをつなぐ様々な問題(2019年度「Migration in Japan」,「Sapporo & Hakodate in 50 Years」)の解決、発見に挑みました。
北海道大学
Hokkaidoサマー・インスティテュートにおけるSDGs教育
Hokkaidoサマー・インスティテュート(HSI)は,世界の第一線で活躍する研究者を北海道大学へ招へいし,本学教員と協働で教育活動を実施するプログラムとして,2016年度に創設されました。毎年,夏季期間を中心に,アクティブ・ラーニング型の授業や広大な北海道の地を生かしたフィールド実習等,先端的な授業100科目以上を英語で実施し,本学学生と海外からの参加者との共修機会を創出しています。環境に焦点を当てた授業科目も多数開講されており,2019年度におけるSDGsに関連する授業科目の一例としては,以下が挙げられます。
-人為的影響下の海洋生物多様性(公害,過剰暴露,気候変動)
-統合的海洋生物学・生態学実習
-持続可能な社会実現のための大学の挑戦―大学キャンパスの運営からサステイナブルキャンパスの取組を学ぶ
-環境汚染の調査と評価・修復の実践
-グリーンエネルギー革新のためのナノサイエンス・ナノテクノロジー基礎論
-北東アジアの未来を創る:地域研究と境界研究の成果から
また,本学には,SDGsの概念に深く関わる国際共同教育プログラムとして,以下のプログラムがありますが,そのサマー・スクールはHSIの一環として実施され,学内外からの参加者を広く受入れています。いずれのサマー・スクールも,講義のみならず,関連施設を訪れるフィールドトリップ,河川流域でサンプリング調査等を行うフィールドワーク,グループディスカッションやプレゼンテーション等の演習により構成され,実践型教育プログラムとなっています。
PAREプログラム
本学とインドネシア・タイのパートナー校が協働し,Population (人口),Activities (人間の活動),Resources (資源),Environments (環境)に関連する様々な問題を解決し,アジアの発展に主導的な役割を果たすことができるフロンティア人材の育成を目指すプログラム。
RJE3プログラム
本学と極東ロシアの基幹5大学が協働し,極東・北極圏をフィールドに「環境評価」「文化的多様性」「土壌と生産」「地域資源開発」「防災管理」の5領域を分野横断的に学び,持続可能な環境・文化・開発を牽引する専門家集団の育成を目指すプログラム。
北海道大学
ライフイベント期の女性研究者のための海外研究者招聘支援
北海道大学女性研究者支援室では、2014年度より、妊娠、出産・育児等のため海外になかなか行くことができない女性研究者に対し、海外研究者招聘費用支援を実施しています。招聘した研究者と共同研究ディスカッションやアドバイスなどの研究交流を行うだけではなく、研究者のキャリア開発やワークワイフバランス促進に向けたセミナーを企画し、学内公開で実施することも支援要件としており、本支援を通じた女性研究者の企画・研究力の向上が期待されます。2019年度までに毎年2件、計12件の支援を行いました。
セミナー実施例(一部)
Accelerated innovation of fostering system for female scientists
“Opportunities and challenges and the importance of mentoring and sponsoring in the scientific careers.”
“My life as young women researcher”
“Science and suitcases: a personal view of a 4-continent scientific career”
“Work-life balance: How much recreational time is needed?”
“Global glass research authority with industrial and academic career”