「実学(サイエンス)」によって地球社会の持続可能性を高める

構想の概要

慶應義塾大学は、スーパーグローバル大学創成支援事業において、これまで以上に社会に貢献し国際評価を高め、世界に冠たる研究大学としての地位を確立します。
創立者福澤諭吉は「学問によって社会に貢献する」ことを尊重し、特に実学を強調していました。実証的に真理を解明する科学によって、自分の頭でものを考え、新たな叡智を生み出して課題を解決する、創立以来一貫した慶應義塾の建学理念です。①人口の少子高齢化、(1)生活・経済・地政学的な面でのリスク増大、(2)新たな価値の創造、これらは今日の世界が抱えている大きな課題です。これらの課題に対する研究は、自然科学・人文社会科学の両面において慶應義塾大学の得意分野です。「課題先進国」といわれる日本において世界に先駆けて顕著となるこれら課題に対して、慶應義塾大学の建学理念のもと、これらの強みを生かしつつ地球社会の持続可能性を高めるための研究を進め、世界に貢献していきます。
そのために、これらの課題に対応して「長寿(Longevity)」、「安全(Security)」「創造(Creativity)」の3つの文理融合クラスターを構築しました。これらのクラスターを中心に共同研究、学生の共同指導、人事交流などを通じて世界の大学との連携を深め、そして学際的かつ国際的な最先端の研究を行い広く世界に貢献します。
各クラスターは各学部・研究科に在籍する関係分野の教員により構成され、基礎的研究から具体的提言まで行える全学的な体制の上に形成されています。これらのクラスターに国内外の研究者と慶應義塾の学生が集い、国境や学問領域を超えた実践的な研究教育を行い、その成果を外国語の論文や国際共著論文を介して世界に発信し、幅広く社会に貢献をするとともに、世界トップレベルの研究大学としての評価を獲得します。

このクラスターで活躍する学生を育成するのに大きく貢献するのが、2016年4月に開設した Global Interdisciplinary Course(GIC)です。GICは、外国語で教える全学共通の科目群で、国内外の学生が国境と学部・研究科の枠を超えて机を並べて学び合う環境を提供します。「文理融合・分野横断」、「少人数・双方向型」の学修形態を取り込み、国際的かつ学際的な人材の育成を目的としています。学生は、GICで学部生の段階から外国語で研究論文を執筆したり、国際学会で発表したりする能力を養います。また大学院に進学し研究者を目指す学生は、更にクラスターの活動にも参加し、国内外の研究者との交流を通じて、グローバルに活躍する人材になるために不可欠な国際感覚、コミュニケーション能力を身につけます。またこのGICを共通のプラットフォームとし、各学部・研究科が外国語による専門科目を設置し連動させることで、外国語のみで卒業・修了可能な学位課程を全学的に増設します。

慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート

更に、大学のグローバル化をより一層推進し、世界に貢献する国際研究大学となるための基盤として、2016年11月に慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)を設立しました。KGRIは、学内の関連する教育研究分野と密接に連携しながら、「長寿」「安全」「創造」の3つのクラスターにおいて文理融合研究や領域横断研究を推進し、その成果を広く国際的に発信することによって、「実学(サイエンス)」によって地球社会の持続可能性を高めること、およびその事業にふさわしい人材を育成することにより、グローバル化を推進することを目的としています。

〈 主な取り組みとこれまでの成果 〉

1. 国際化の推進

世界主要大学との
ネットワーク

  • 260校を超える海外有力大学との包括・交換協定を締結しています。
    今後もこのネットワークを強化していきます。
    (H28.5.1現在304校(44校増))

ダブルディグリーの
先駆として

  • 国内最多を誇る23件のダブルディグリープログラムを、この10年間でジョイントディグリーと併せて35件に増やします。
    (H28.5.1現在25件(2件増))

海外研究連携拠点の
拡充

  • 現在ある3つの連携拠点(NUS CUTE Center, CNRS, MINATEC)を、この10年間で15拠点に増やします。
    (H28.5.1現在 15拠点(12拠点増))

2. 教員組織の国際化

テニュアトラック制度の拡充

  • 世界中の外国人若手研究者に対して、テニュアの機会を創出します。
    (H27年度採用実績 37名(1名増))

クロスアポイントメント制度の導入

  • 海外副指導教授により若手研究者(主に博士課程学生)の国際的教育を行います。
    (H28年度 76名(64名増))

外国人教員の
積極的採用

  • 学際的英語研究力養成共通科目群(GIC)や各クラスターにおいて、学際的・国際的な教育・研究を行なう外国人教員を積極的に採用します。
    (H28.5.1現在外国人教員等975名(98名増))

3. 教育の多様性

留学生の積極的受入れ

  • 海外からの留学生を積極的に受入れ、この10年間で2倍以上に増やします。
    (H28.5.1現在 1,691名(271名増))

英語のみで学位取得可能なコースの拡充

  • 現在7つの学部・研究科で行われているコースを、全学的に展開します。
    (H28.5.1現在 13コース(1コース増))

留学生用短期プログラムの拡充

  • 日本へ留学を希望している留学生のために、各種短期プログラムを開発し提供します。
    (H28年度 400名超を受入れ)

4. 研究力の強化

産業界との強い絆

  • 日本でもトップクラスの産業界との関係を今後更に強化しこの10年で委託研究を倍増させます。
    (H27年度実績94億円(30億円増))

知的資産の創出

  • 慶應義塾の知的資産は産業界で高く評価されてきましたが、この10年で更に特許登録件数を倍増させます。
    (H27年度実績1,117件(182件増))

知の共有

  • 3つのクラスターにおける海外との共同研究を活性化させることで、研究の質を高めます。
    (H28.11.1 KGRI創設)
  • 大学公式サイト
  • スーパーグローバル大学特設サイト
  • 構想調書ダウンロード(PDF)